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インタビュー『新潟大学の研究力』

高橋 均理事(研究担当)へのインタビュー

 新潟大学の研究の特色をお聞かせください

新潟大学は、日本海側に位置する大規模総合大学として人文社会・教育科学系、自然科学系、 医歯学系等の幅広い学問分野を網羅しています。基礎研究はもとより、現代社会の要請に応えうるようイノベーションを創出するとともに、先端分野における横 断型の研究を推進しています。
その一方で、国立大学が独立法人化されて10年以上が経過した今日、本学としては、いくつかの特定の分野で「世界的な教育研究拠点」を有する大学として認識されるべく重点的な取り組みが必要であると考えています。
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 代表的な研究をいくつか挙げていただけますか?

本学は2つの研究所を有していますが、いずれも本学特有の研究を推進する組織としてこれからも発展していくものと期待しています。
「脳研究所」は、わが国の大学では唯一、脳科学、特に臨床を重視する脳神経疾患の病態研究を専門とする研究所として、60年近くに亘る長年の実績と世 界レベルの研究成果・データを保有しています。全国の共同利用研究施設「脳神経病理標本資源活用の先端的共同研究拠点」に認定されており、また、大型の外 部資金の獲得によって高磁場磁気共鳴画像(MRI)やポジトロン断層撮影法(PET)装置をそろえた「統合脳機能研究センター」では、最先端の脳機能画像 研究が進行しています。今後は、更なる国内外の優秀な研究者の参入と、これまで以上の国内外の共同研究を推進することが肝要です。
「災害・復興科学研究所」では、自然災害への知見を基にした中山間地域における複合災害のメカニズムを解明すべく研究しています。災害に関する研究所 は他大学にもありますが、日本の国土の約7割を占めると言われる「中山間地域」をターゲットとした、新潟という地域の利点を活かした研究所としての展開が 望まれます。現在、様々な災害に対応可能な人材をそろえ、更には、自治体との強力な連携を築くべく、研究所組織の改組、強化に取り組んでいます。
また、本学には、様々な研究プロジェクトが所属する「超域学術院」があります。ここには、選定された研究者が所属しており、文理融合、医工連携といった研究分野のコラボレーションによって新たな価値を創造する研究に取り組んでいます。
教員個々においても、モンゴル研究、水素エネルギー、腎研究など様々な領域で特色ある研究活動を行い、受賞や国際会議での発表、また、科学研究費の獲得などで実績を挙げています。

 トキに関する研究の現状を教えてください

本学は、10年以上も前から佐渡島内においてトキの研究を進めてきました。平成20年には、研究推進機構「超域朱鷺プロジェクト」を立ち上げ て、全学的な体制を整備するとともに、平成22年、佐渡市との連携を強化し、「トキをシンボルとした自然再生と地域創生に関する総合的研究」をテーマに掲 げて、佐渡島内に「朱鷺・自然再生学研究センター」を設置しました。超域学術院の専任教員、農学部をはじめとする学内の兼務教員によって着実に研究成果を 上げてきました。こうしたテーマは、学生にとっても人間力を高めることができる魅力的な学びの場となっています。
平成27年度から、研究推進機構「朱鷺・自然再生学研究センター」は再導入生物学研究部門、生物多様性・生態系復元研究部門、環境社会システム研究部 門の3部門体制に一新し、研究力の強化を図り、佐渡市の住民の方々の理解・支援を得ながら、“里地里山の再生・地域の再生(佐渡モデル)”に取り組みま す。

 科学研究費の獲得状況はどうですか?

本学は、科学研究費の獲得が年々向上していますが、本学の規模からするとまだまだ満足でき る状況ではありません。特に、科学研究費のうち大型と言われる基盤研究A以上の獲得が少ない状況であり(研究大学を自任するには、研究者一人当たりの研究 費獲得額が重要です)、これらを支援する体制として、研究活動の企画・マネージメントなどのリサーチ・ディベロップメント業務や外部資金獲得などの支援業 務を行うURA(大学・リサーチ・アドミニストレータ)が所属する研究企画室を設置しています。その他にも、現在、科学研究費の獲得向上に向けた取組とし て、不採択となった課題のうち評価が高かったものに対する「惜敗支援」を行っています。
研究者が積極的に上位種目に挑戦できる環境を整備すべく、平成27年度から、URAの倍増も決まりました。また、より上位の種目の獲得を目指すため「惜敗支援」※の増強も行う予定です。
※評価が高かった不採択者に対し、当該研究を中断せず継続させることで次回への挑戦を支援する施策。
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 最近、女性研究者の活躍に期待が集まっていますが。

研究活動に性別は全く関係ありません。新潟大学には優秀な女性研究者がたくさんいますが、研究者数の全体に占める女性の割合はまだまだ少ない状 況です。テニュアトラックでは、当初から国際公募によって世界中から優秀な研究者を採用していますが、本学で採用した女性研究者は目覚ましい活躍をしてい ます。また、同時に、今後の本学においては、研究者を目指す学生を育む、特に大学院教育が重要だと認識しています。

 今後、どのような研究展開を考えていますか?

takahashi4 私は脳科学(神経病理学)を研究対象としてきたひとりですが(現在も、まだ現役と思っています、笑)、その研究の世界はかなりのスピードで、世界的規模で進展しています。
研究とは、「新しい知見を得る過程」、「これまで誰も知らないことを明らかにする過程」をいうのでしょう。そこには、いうまでもありませんが、競争が あります。多くの場合、課題が発生した時点でスタートしたのでは遅いのではないでしょうか。たとえば、高齢化社会における医療の問題や昨今の世界各地で発 生している自然災害にしてもそうですが、その道の専門家であれば、起こりうる事象はある程度想像できるはずです。研究者に求められるのは、独自の嗅覚を活 かした先見的なモノの見方、考え方ができるかどうかであり、また、その研究に没頭できる無邪気な、健全な精神が大事だと思います。
また、研究者としての大学人は、社会から期待されているという意識を強く持つことが重要です。社会は、優れた研究成果(「世界的な」であり、「地域に根ざした」であり)に対して賞賛を惜しみません。

高橋理事のプロフィール

昭和27年生まれ(仙台市)。新潟大学医学部卒業。医学博士。
平成7年より新潟大学脳研究所教授
平成14年7月より新潟大学脳研究所長(~26年1月)。
専門は神経変性疾患および脳腫瘍の病理学。脳神経疾患の剖検・生検に立脚した神経病理学的研究に取り組む。
現在、日本神経病理学会理事長(平成22年4月~)、世界神経病理学会理事長(平成26年9月~)を務めている。
趣味はサッカー(主に観戦;昔は名選手?だったが、今は、本学医学部サッカー部長の仕事を楽しむ程度)。