新潟大学長 下條 文武
私が就任した平成20年2月以降,皆様のご支援をいただきながら,第1期中期目標・中期計画の総仕上げに取り組むとともに,本学が目指す方向とその実践を示すことを目的とした「新潟大学アクションプラン2009」を策定し,これに基づいて掲げた第2期中期目標・中期計画の実施に向けて,微力ながら努力して参りました。
教育面では,主専攻プログラムによる学士課程改革を先導的に実施し,学生の自律的・創造的学習を促し,確かな学士力の修得を目指す「新潟大学・学士力アセスメント・システム:NBAS」による学士課程教育の実質化に着手しました。大学院では,中央教育審議会の答申「新時代の大学院教育」,「グローバル化社会の大学院教育」の趣旨を踏まえた検討を重ね,組織改革を進めています。更に,本学独自の奨学金制度の導入とキャリアコンサルタントの配置による就職支援という,本学独自の学生支援体制を構築しました。
研究面では,朱鷺・自然再生学研究センター,災害・復興科学研究所という新たな研究拠点の設置の他,脳研究所が先端的共同研究拠点に認定されました。また,新たな研究者育成制度として「テニュア・トラック制度」,新大シッターによる女性研究者育成支援事業・男女共同参画の推進等を手がけました。こうした取組が,「最先端・次世代研究開発支援プログラム」への採択や科学研究費補助金の獲得向上など目に見える実績に繋がりました。
現在,これまで私が進めてきた様々な取組の成果と検証を行い,「アクションプラン」の見直しを行っているところであります。まさに,私の1期目の真価が問われるものと考えておりますが,本学が有する教育研究の資産を最大限活用した新たな取組を進めてまいる所存であります。
大学には,18歳人口の減少,グローバル化,運営費交付金の削減という厳しい波が押し寄せております。私は,こうした状況を堅実に乗り越えられる態勢と競争力を備えた特色のある大規模総合大学を目指すべきであり,変革の波を乗り越えるダイナミックな視点も必要であると認識しています。
また,総合的な学士力の養成が継続的な重点課題であることはもちろんですし,各研究科の特性と学士課程の教育改革を踏まえた大学院教育の実質化への歩みを加速させたいと考えています。
一方で,基盤的研究分野を支援することにより,バランスのとれた本学の研究推進を図ることによって,本学の研究力の向上を目指します。特に,3学系(人文社会・教育科学系,自然科学系及び医歯学系)の基盤的研究と2つの研究所,超域学術院等の本学の特色ある先端的研究への支援を強化することによって,本学の研究の質と量の両面の一層の向上を図るとともに,積極的に国際交流を展開してまいります。
昨年の東日本大震災では,巨大地震に起因して津波が発生しましたが,こうした複数の災害が同時に起こる“複合災害”が,世界各地で発生しています。本学では,昨年4月に災害・復興科学研究所を設置し,中越地震,中越沖地震という近年2度の大震災の経験を踏まえ,災害研究と復旧・復興支援に取組んでまいりました。研究所が進める中山間地における複合災害・減災科学を推進し,国内はもとより,諸外国の研究機関との共同研究を進め,世界的研究拠点を目指してまいります。
③施設・環境の充実 現在,五十嵐キャンパスでは,附属図書館(中央図書館)の増築・改修工事を実施しております。新しい図書館は従来の約1.5倍の規模となり,学生のための学習スペース(ラーニングコモンズ)の拡充とともに,地域の皆様にも利用いただけるカフェスペースや約300人が利用できるホールも設置します。さらに次年度,新たな研究棟(環境・エネルギー研究拠点)の建設着工を予定(注)しています。また,医歯学総合病院では,新外来診療棟を整備中であり,今秋の開院を目指しております。
本学では,学生には快適な教育・研究環境を,また,患者様に対しては,安心して受診いただける医療環境を提供したいと考え,今後も施設・環境の充実を進めてまいります。
(注:平成24年度予算政府案 国立大学法人等施設整備実施予定事業)
平成23年12月15日開催の経営協議会にて,「不正契約等再発防止のための方策について(報告)」がとりまとめられたことも踏まえ,本学の運営体制等の充実策を策定しました。
その中心となる取組が,役員会の機能強化です。役員会において審議すべき事項を体系的に整理し,意思決定過程の段階ごとの審議を充実化させます。
また,大学の中長期的な重要課題に組織的に対応するため,「企画戦略会議」を新設するとともに,直面する大学運営上の課題に対しては「マネジメントミーティング」を開催し,熟議による施策形成の充実を図ります。
今回策定した方策を着実に実施し,この度発生した不正契約事件のような事態が2度と起こらぬよう,体制を強化してまいります。
今回,不正契約事件が発生したことによって学内外の皆様に多大なご迷惑と心配をおかけしたこと,また,新潟大学に対する信頼を損なったことは誠に遺憾であります。私は,今後2年間,新潟大学に対する信頼の回復や発展のために全力を尽くすことを誓う意味で,「給与の5割,1月」を大学に自主返納させていただきました。また,前体制の理事も,「給与の2割,1月」を自主返納したとの報告を受けております。何卒ご理解を賜りますようお願いいたします。
新潟大学は,歴史と伝統のある大規模総合大学であります。最先端の教育・研究に取り組み,優秀な学生を世の中に輩出することは,大学に課せられた使命である事は言うまでもありません。私どもはめまぐるしく変化する社会の動向を見据え,ステークホルダーの視点に立って,その期待に確実に応えていくよう不断の努力を続けていく覚悟です。これからの2年間は,私が新潟大学長として実践してきた数々の取組の総仕上げとその効果が試される時期でもあります。この間,多くの厳しい試練が待ち構えていると思いますが,大学の有るべき姿をしっかりと描き,学生が充実した大学生活を送ることができる明るいキャンパスを作るため,努力してまいる所存です。