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脳研究所

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脳神経難病の克服に向けて

脳研究所は,アルツハイマー病や脳腫瘍などのヒト脳疾患の病因・病理の解明を目指して,50年前にわが国で最初の脳神経に関する国立大学附置研究所として設置されました。ガンや心血管障害が克服されるのに伴い高齢化が進む現在,アルツハイマー病に代表される加齢性の脳疾患患者は倍増し,社会問題化してきたため,脳研究所は当該疾患の先進的診断法開発,新規治療法開発に挑戦しています。一例として,大学機能強化基本戦略3「システム脳病態学プロジェクト」の一端を担って,脳神経難病に伴う神経ネットワーク改変状況やその分子変化を全脳可視化することに着手しています。さらに共同利用・共同研究拠点として保有する脳疾患リソース(脳標本,モデル動物など)や最先端大型機器(7T MRI,次世代シークエンサーなど)を活用することで国内外の主要研究機関と共同研究を実施し,脳研究所の世界展開を図っています。

研究部門 研究分野
基礎神経科学 分子神経生物学、腫瘍病態学、細胞病態学、システム脳病態学
病態神経科学 病理学、分子病態学(客員)
臨床神経科学 脳神経外科学、脳神経内科学
統合脳機能研究センター(附置研究所附属研究施設) 脳機能解析学、生体磁気共鳴学、臨床機能脳神経学
生命科学リソース研究センター
(附置研究所附属研究施設)
バイオリソース研究 遺伝子機能解析学、動物資源開発研究、モデル動物開発
脳科学リソース研究 脳疾患標本資源解析学、分子神経疾患資源解析学、脳病態解析学、トランスレーショナル研究
脳研究所外観
脳研究所外観
ヒト脳神経疾患資源の一つである光学顕微鏡観察用ガラス標本保管室
ヒト脳神経疾患資源の一つである光学顕微鏡観察用ガラス標本保管室

脳神経病理資源活用の疾患病態共同研究拠点

文部科学大臣が認定する「共同利用・共同研究拠点」制度は,個々の大学の枠を越えて,研究設備やデータ・資料等を全国の研究者が活用して共同で研究を行うためのシステムです。脳研究所は2010年4月より,「脳神経病理標本資源活用の先端的共同研究拠点」として認定され,ヒト脳疾患の克服を目指し,本研究所が所有する膨大な脳神経疾患に関わる資源と,それに関わる専門的な知識・技術を我が国の脳科学研究者コミュニティに公開し,脳神経病理学とその関連分野において多様な共同研究を創出し,実施してきました。さらに,2016年度から共同研究領域の広がりを踏まえて,「脳神経病理資源活用の疾患病態共同研究拠点」に拠点の名称を変更し,認定更新されています。

アルツハイマー病予防・治療薬の創生【文部科学省 共同利用・共同研究拠点強化事業】

脳研究所統合脳機能研究センターにおける20年にわたる地道な研究は,アルツハイマー病の無侵襲な発症前診断につながる画像診断法を開発すると共に,アルツハイマー病の発症メカニズムに脳の水チャンネル蛋白であるアクアポリンの機能低下から生ずるアミロイド蛋白の排泄不全が関与していることを突き止めました。本事業はこれらの画期的な成果を踏まえ,MRI・PETを用いたアルツハイマー病の発症前診断法を開発・確立すると共に,開発された診断技術をアルツハイマー病発症予防に生かすために,アクアポリンを抑制する薬剤の開発を行い,アミロイド蛋白の排泄不全を予防・治療する特異的な新薬を創生することを目標としています。

7T超高磁場MRIによるアルツハイマー病老人斑のイメージング
7T超高磁場MRIによるアルツハイマー病老人斑のイメージング
神経膠芽腫のアクアポリン4PET分子イメージング
神経膠芽腫のアクアポリン4PET分子イメージング