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モンゴル帝国興亡史の解明を目指した環境考古学的研究

超域研究機構・教授 白石 典之

今から800年前に成立したモンゴル帝国は、東欧から東アジアにまたがる版図を獲得しました。その広い国土に交通網を整え、交易の促進と情報伝達の迅速化を図ったため、現在のグローバル化の先駆けと評価されています。ですが、繁栄も束の間、150年ほどで滅びてしまいました。その興亡は文字資料が十分でなく、これまで謎だらけでした。そこで私たちは物質資料に依る考古学的研究を始めました。
初代君主チンギス・ハンの頃、モンゴルは干ばつや冷害が繰り返し襲う、環境の厳しい時期でした。農耕に適さず、牧畜に頼る生産性の低い地域にもかかわらず、強大な国家が誕生できたのは、自然と上手く付き合う術を心得ていたからだと考えられます。ですが、やがて人口増加による過剰生産で土地が痩せ、自然災害が大飢饉をもたらし、そこに伝染病がまん延して滅亡へと至ったのです。それは環境の悪化や新型伝染病の危機にさらされている現在の姿に似ています。
私たちは環境変化と人間活動との関係からモンゴル帝国興亡の謎を解明できると考え、人文・自然科学が協力してモンゴルで調査を行っています。自然と人間との付き合い方を学び、将来に役立つこと探る、つまり過去を現在と未来に活かす、「温故知新」型プロジェクトです。その成果は迫りくる環境危機を克服するための指針を私たちに示してくれると期待されています。

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