ヒトを含む霊長類での新しい神経成長マーカーを発見しました

2021年04月20日

概要

新潟大学脳研究所 脳神経外科学分野の 岡田 正康 助教(医歯学総合病院)、藤井 幸彦 教授 と本学医歯学系神経生化学分野の 五十嵐 道弘 教授 は、名古屋市立大学大学院医学研究科・脳神経科学研究所の 澤本 和延 教授、金沢大学大学院医薬保健学総合研究科の 河崎 洋志 教授、群馬大学大学院医学系研究科の 山崎 博幸 准教授(現・群馬医療福祉大学)らのグループとの共同研究で、ヒトに応用可能な神経成長の分子マーカーの一つを同定し、それに対する特異抗体の有用性を報告しました。

古くから知られている神経成長関連タンパク質GAP-43について、齧歯類についてプロテインキナーゼJNKでリン酸化されるGAP-43172番目のトレオニン (T172) の存在を、本学研究チームはすでにiScience (2018) で報告していました。今回このT172のリン酸化が、齧歯類の神経細胞で発現の局在を検証し、発達脳の成長中の神経や、神経損傷後の再生中の末梢神経において強く発現することを、同チームが樹立したリン酸化特異抗体によって見出しました。またこの配列は哺乳類に広く保存され、コモンマーモセットなどの霊長類においても相同配列 (霊長類ではT181) JNK依存性にリン酸化されることを確認しました。さらにヒトiPS細胞から分化・誘導された神経細胞においても伸長軸索でこのリン酸化が確認されました。

このリン酸化を認識する特異抗体は、今後ヒトを含めた霊長類の神経細胞の成長や軸索再生を研究する上で、重要なツールの一つとなると考えられます。

本研究成果は、神経科学の専門誌 Molecular Brain(オープンアクセスジャーナル; Q1)に202148日付で掲載されました。

■公開論文はこちら210422.seika_pic.jpg

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研究成果・実績
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