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学長メッセージ

学長メッセージ「入学生の皆さんへ」2020年4月

学長メッセージ「入学生の皆さんへ」

皆さん、新潟大学へようこそ。新潟大学を代表して、皆さんのご入学を心よりお祝いを申し上げます。

例年、新潟大学では、朱鷺メッセに一堂に会して盛大な入学式を開催していますが、今年は世界的な規模で急速に広がる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止対策の一環で、この入学式を中止することにしました。本来なら春のやわらかな日差しの中で、賑やかに皆さんを迎えてお祝いしたいところですが、それがかなわないのは大変残念なことです。入学式の代わりには及びませんが、新潟大学のホームページにある特設ページに、入学記念オリジナルフォトフレームや、記念撮影スポットのご案内をしています。ガイダンスが始まる時期から,感染予防のルールを守りながら、いつもとは違う形で皆さんそれぞれでお祝いをしていただきたいと思います。私も、皆さんに直接お祝いの言葉を送ることができないので、このような形でメッセージを送ることにします。

自律と創生

新潟大学の理念は「自律と創生」です。文字通り、「自律」は自分自身で立てた規範に従って行動すること、「創生」は新たなものを作り出すことです。入学にあたり、この言葉の意味をかみしめてもらいたいと思います。

皆さんは、中国の思想書『荘子』の中にある「邯鄲の歩み」という話をご存じでしょうか?昔、中国の燕という国に住んでいた青年が、趙という国の都である「邯鄲」に住む人の歩き方にたいそう憧れて、「邯鄲」に歩き方を習いに行ったという話です。しかし、結局何も習得できず、しまいには自分で歩くことさえ忘れてしまい、這ってふるさとに帰ってきたというところでこの話は終わります。

新潟大学で学ぶ皆さんは、そんな他人の真似ではなく、常に自分の規範を自ら立てて物事を考える習慣を養ってもらいたいと思います。すなわち、自分自身で物事をよく見聞きし、事実を自分の目で見極めて、判断していく、そういう力です。

新型コロナウイルスの感染拡大が示すこと

今回の新型コロナウイルスによる感染症は昨年末に中国の武漢で発生し、半年もしないうちにあっという間に世界に広がり、ついにWHO(世界保健機関)がパンデミック(世界大流行)を宣言するまでに至りました。じつはパンデミックという現象はこれまでの人類の歴史で繰り返し起こってきました。直近では2009年の新型インフルエンザ感染によるパンデミックでしたが、これは科学の進歩のおかげもあり比較的小規模に終わりました。しかし、今回の新型コロナウイルス感染は、これに対してはるかに深刻で、まさに人類の脅威という広がりを見せています。それはちょうど100年前(1918-1920年)に流行し、人類史上で最大の死者(数千万人)と感染者(数億人)を出したとされる「スペインかぜ」を想起させるものがあります。

科学はこの100年で大きく進歩したはずなのに、なぜこのような事態に陥っているのでしょうか?たしかに、20世紀の科学の発展は目覚ましく、それまで謎であった「ウイルス」という実態を明らかにし、その同定だけでなく、ワクチンや治療薬の開発まで可能にしました。今回の新型コロナウイルスのような新しい感染症が出てきても、普通の風邪とすぐに区別することができます。そして、こういう新しいウイルス感染症においては、ワクチンや治療薬の開発には多少時間がかかるので、まずは感染地域を隔離し感染の拡大を防ぐことが重要になります。従来であれば、こうした対策である程度感染を抑えることができました。ところが、急速なグローバル化により、人々の移動が極めてスピーディかつ広範囲になり、こうした人の移動がウイルスを世界に急速に広げる事態を招きました。その結果、これまで経験をしてこなかった規模の感染の拡大を見せて、パンデミックという世界大流行を引き起こすに至っているわけです。このように、今回の新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、現代の社会の進歩が招いたものともいえます。

この問題は科学の知識だけでは乗り切ることができません。社会は複雑化していますから、この感染拡大が及ぼす社会の様々な問題を解決するための多様な知識が必要になってきています。文系の学生であっても、感染症の基礎知識を理解できる力が必要ですし、理系の学生であっても、社会の構造を学ぶ必要があります。また、情報化社会においては、文理を問わず、データベースサイエンスも重要です。つまり学際的で柔軟な知識と、それを活用する力が期待されているわけです。

未来に立ち向かう力

皆さんがこれから生きていく時代は、このように複雑で予測できない出来事がたくさん出てくると思います。それを乗り切るためには、ますます人類の英知を結集して解決することが必要となります。そんな、時代を生き抜くための知力を養うことが、現代の大学の役目だと私は思っています。

大学は「知の拠点」であり、学生の皆さんや教員にとっての「知の自由空間」です。新潟大学のような大規模の総合大学には、さまざまな学問分野のエキスパートが集まっています。したがって、皆さんは自分の専門分野に閉じこもらないで、様々な学びを得ることができます。フィールドワークもあるでしょうし、留学をする機会もでてくるかもしれません。また、大学の学びにおいては、高校までの試験問題のように答えのあるものばかりではないでしょう。むしろ、答えのない課題や問題に出会うことも多いのではないかと思います。しかし、未来に立ち向かう力は、そうしたことに真摯に向き合うところから始まります。

 

新入生の皆さん、新潟大学の理念である「自律と創生」を胸に、大学生活の中で多様な学問と人との出会いに接し、積極的にさまざまなことに取り組むことで、柳の枝のようにしなやかで折れない「真の強さ」を身につけてください。皆さんが社会にはばたくとき,それが大きな力になると信じています。どうか皆さんの知的好奇心を最大限に発揮して、多くのことを学び、実りある日々を送ってください。卒業時には、大きく成長した皆さんにお会いできることを楽しみにしています。

令和2年4月

新潟大学長 牛木辰男

新潟大学紹介PV