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学長メッセージ

学長メッセージ「秋季入学生の皆さんへ」2021年10月

学長メッセージ「秋季入学生の皆さんへ」

秋季入学生の皆さん、ようこそ新潟大学へ。ご入学を心よりお祝い申し上げます。
例年であれば、秋季入学式の式典を五十嵐キャンパスにある中央図書館ライブラリーホールで開催するのですが、まだ今年も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが続いていることから、残念ながら一堂に会する式典は中止としました。皆さんに直接お会いしてお祝いすることができませんので、私から皆さんにこのメッセージをお送りします。

新潟大学の理念を知る

まず、入学に際して、皆さんに新潟大学の理念を知ってもらいたいと思います。新潟大学の理念は「自律と創生」です。文字通り、「自律」は自分自身で立てた規範に従って行動すること、「創生」は新たなものを作り出すことです。
新潟大学はこの理念のもとで、皆さんが在学中に「常に自身の規範を自ら立てて物事を考える習慣」を養ってもらいたいと願っています。すなわち、自分自身の眼と耳で物事をよく見聞きし、事実を自分で見極めて、判断していく、そういう習慣です。

コロナ禍を考える

新型コロナウイルス(SARS-CoV2)の出現による新たな感染症COVID-19は、一昨年末に中国の武漢で発生し、あっという間に世界に広がり、パンデミック(世界大流行)となりました。思いもかけぬ大きな出来事が起きたと感じている人が多いことでしょう。
しかし、感染症の大流行は人類の歴史の中で何度も繰り返されてきた出来事です。たとえば中世ヨーロッパを襲ったペスト(黒死病)では、ヨーロッパの人口の1/3の命が失われました。また、ちょうど100年前には「スペインかぜ」と呼ばれる新型インフルエンザの世界大流行がありました。この大流行では、当時の世界の人口約18億人の1/3(6億人ほど)が感染し、数千万人が死亡したと伝えられています。このように、感染症の大流行は、大地震などの天災と同様に、必ず起こる出来事の一つであり、人類が乗り越えなければならない、大きな試練の一つです。
まさに、私たちは今、そんな大きな試練に晒されています。このコロナ禍という試練の中で、私たちは何を学びとり、何をすべきでしょうか?この問いは学校の試験問題のように一つの正答があるわけではなく、むしろ答えのない問題といえるかもしれません。しかし考えることが重要です。
たとえば歴史を振り返るなら、14世紀のペストの大流行はヨーロッパの封建社会の構造変化を加速させ、それがルネサンスという新たな時代に導いたという人がいます。「スペインかぜ」は、ちょうど第一次世界大戦の最中の大流行で、この大戦の終結を早めるとともに、その後の世界経済に大きな変化をもたらしたといわれています。このように過去の感染症の大流行は、社会や経済の枠組みを大きく変えるきっかけになってきたということも一つの視点です。
皆さんも、コロナ禍の中にいて、世の中の何かが大きく変わろうとしていることを感じていませんか?ぜひ、そのことを、皆さんの頭の中で考えてみてください。コロナ禍で初めて気づいたこと、コロナ禍で学ぶことが、たくさんあるはずです。

未来への力を養う

COVID-19の波が何度も押し寄せ、だんだんその波も大きくなり、まだまだ出口がみえない状況ですが、このコロナ禍の後には、どんな世界が訪れるのでしょう?
日本が提唱する未来社会のコンセプトにSociety 5.0という言葉があります。人類が築いてきた社会は、まず狩猟社会(1.0)に始まり、さらに農耕社会(2.0)、工業社会(3.0)、情報社会(4.0)へと発展してきた中で、その先に見えてきた第5段階目の社会を定義するのがSociety 5.0という言葉です。これは、サイバー空間とフィジカル空間(現実空間)の高度な融合により築かれる社会とも説明されます。
コロナ禍は、こうした社会の変化を早めたのではないでしょうか。それは、ちょうど、小石が坂を転がりだすと止まらなくなるような、そんなスピード感です。最近は、デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉もよく耳にするようになってきました。DXの定義は「デジタル技術を社会に浸透させることで、人々の生活をよりよいものへと変革させること」です。まさに、このコロナ禍の中で、デジタル技術が私たちの生活の中に、どんどん浸透してきていることを実感するのは私だけではないでしょう。
皆さんは、このように大きな変革期の中をこれから生きていくことになるでしょう。そこでは、複雑で予測できない出来事がたくさん出てくると思います。そんな時代を生き抜くための知力を養うことが、現代の大学の役目であるべきです。新潟大学で学ぶ皆さんには、ぜひともそういう力を養ってもらいたいと思います。

新潟大学の将来ビジョンを知る

新潟大学は、今年2月に「新潟大学将来ビジョン2030」を公表しました。これは大学のホームページからも見ることができますので、是非一度は読んでもらいたいと思います。
この将来ビジョンでは、コロナ後においても新潟大学が社会に必要とされる大学であり続けるためには何をすべきかを自ら問い、これからの未来社会に向けて新潟大学が果たすべきミッション(使命)を、「未来のライフ・イノベーションのフロントランナーとなる」ことと定めています。ここでいう「ライフ・イノベーション」とは、医療・健康・福祉分野に留まらず、21世紀を生きるわれわれの「生命」、「人生」、「生き方」、「社会の在り方」、「環境との関わり」と、それらの土台となる「地球」や「自然」についての新たな価値と意味を生み出すための革新を指しています。このミッションを胸に、2030年という直近の未来における新潟大学のあるべき姿を描きながら進もうという決意です。地球に生きるわれわれ人類の営みを豊かにするために、総合大学である知を結集して、「ライフ・イノベーション」を進める未来志向の大学となることを新潟大学は目指しています。皆さんにも、このビジョンとミッションを共有してもらいたいと願っています。

有意義な大学生活を

大学は「知の拠点」です。それは、学生の皆さんや教員が、学問を愛し、思索し、学び合い、そこから未来を築く知恵が生まれる場であるからです。新潟大学は今述べたようなビジョンとミッションを持った未来志向の大規模総合大学です。さまざまな学問分野のエキスパートが集まっています。
ぜひ、新入生の皆さんは、入学というこの節目に抱いている夢や志を忘れることなく、新潟大学という「知の空間」を活かして、在学中に多くのことを学んでもらいたいと思います。そして、新潟大学の理念である「自律と創生」を胸に、新潟大学が進める多様な取組に積極的に参加し、柳の枝のようにしなやかで折れない「真の強さ」を身につけてください。皆さんが社会にはばたくとき、それが大きな力になると私は信じています。

 

コロナ禍において、実際の講義や実習にはまだまだいろいろな制約があります。期待していた大学生活とは異なる現実がもうしばらく続くことになるかもしれません。困ったことが生じたり、ストレスや不安を感じたら、いつでも信頼できる人に相談してください。家族や友人、そして、もちろん大学の指導教員や学務係の人がよいこともあるでしょう。皆さんは一人ではありません。コロナ禍にあっても、大学生活という時間を大切にし、工夫をしながら、皆さんの知的好奇心を最大限に発揮して、多くのことを学び、実りある日々を送ってください。
やまない雨がないように、コロナ禍もやがて収束します。卒業時に、さらに何倍にも大きく成長した皆さんにお会いできることを心より願っています。

令和3年10月

新潟大学長 牛木辰男