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学長メッセージ

令和3年度卒業式 学長告辞

本日ここにお集まりの卒業生の皆さん、修士・博士 修了生の皆さん、そして養護教諭特別別科 修了生の皆さん、卒業・修了まことにおめでとうございます。今年度の学部卒業生は2,359名、大学院修了生は656名、学位論文提出者は4名、養護教諭特別別科 修了生は50名となりました。新潟大学を代表して、まずは皆さんに心よりお祝いを申し上げます。

また、本日、非対面ながら、この卒業式をオンラインで視聴されている、ご家族の皆様、関係の皆様にも、心よりお慶びを申し上げます。本来ならば、ご家族の皆様にもこの卒業式にご臨席いただき、直接お祝いを申し上げたいと願っていましたが、新型コロナウイルス感染症COVID-19の感染状況を考慮し、このようなハイブリッド形式にさせていただくことにしました。

卒業式は、卒業生・修了生の皆さんとご家族の皆様にとって、人生の節目となる、思い出に残る大切な行事ですから、我々大学主催者にとっても、皆さん全員をお呼びできないことは大変残念なことです。しかし、一昨年、昨年と中止した朱鷺メッセでの全学卒業式が、制限のある中でも、このような形で今年は挙行できた点で、ご容赦いただきたいと思います。

皆さんご存じのように、COVID-19は3年前の12月に中国武漢で発生し、一昨年の2月からの世界大流行、すなわちパンデミックを起こしました。それからすでに、まる2年が過ぎ3年目を迎えています。この間、日本でも感染拡大の波が何度も押し寄せ、さらに年明けからのオミクロン株による第六波がまだ落ち着いていません。このような経緯で、皆さんにとっては、大学生活のまる2年間がコロナ禍の中となりました。さまざまな行動制限とともに、オンラインを中心とした非対面型の授業が長く続き、演習や実習も制限が多く、さぞかし苦労されたのではないかと思います。

人類の歴史は、ペスト、天然痘、コレラ、インフルエンザなどの多様な感染症との戦いの歴史でもあります。感染症のパンデミックは、これまでにも何度も訪れており、直近では、ほぼ100年前の1918年に起こったスペイン風邪またはスペインインフルが今回のCOVID-19のパンデミックとよく比較されています。また、その30年ほど前の1889年ごろから世界流行したロシア風邪は、コロナウイルスの一種だったのではないかと最近、注目されています。もちろんそんな古い時代にはまだウイルスが発見されていなかったので、これから検証が必要ですが、約6年間で100万人の犠牲者を出したロシア風邪がコロナウイルスだとすると、今後さらにいろいろな教訓を我々に与えてくれるかもしれません。

いずれにせよ、皆さんの多くが入学した4年前は、こんなコロナ禍に見舞われるなど思いもしなかったことでしょう。私もそうでした。しかし、このパンデミックにより、それまで普通だと思っていたことや、普通だったことが、実はかけがえのないものの集まりであったことに気づかされました。

朝起きて大学に向かうこと、道で友人と挨拶をかわし、講義にでること、級友と笑い合いあいながら食事をし、部活に熱中すること、そして時には口角泡を飛ばし、友達と語り合うこと、それらが、実にかけがえのないものだったということに気づかされました。人と触れ合うことの大切さを実感したのではないかと思います。

同時に、社会が大きくデジタルの時代に動き出したことにも気づかされたのではないかと思います。ここ最近、日本で頻繁に使われるようになったSociety 5.0という言葉があります。人類がまず狩猟社会に始まり、第2の農耕社会、第3の工業社会、第4の情報社会を経て、次に向かう第5の新たな社会をSociety 5.0と定義づけるものです。この第5の社会は、デジタルとリアルの高度な融合により築かれるものといわれてきましたが、コロナ禍により、この動きが大きく加速しました。

こうした現在のコロナ禍の世界で、私たちはいろいろな試練に立たされています。しかし、それは新しい社会に向けての変化です。コロナはやがて必ず収束します。そして、そこに向かって動き出した時代の変化は、今よりももっともっとスピードを増していくのではないかと思います。

その時代をだれが担っていくことになるのか。もちろん、それは、いまここにいる皆さんです。コロナ禍にあり、コロナ禍に耐え、コロナ禍で考え、コロナ禍を乗り切った皆さんこそが、新しい時代を切り拓く力を持っているはずです。どうか、新潟大学を巣立つ皆さんには、未来社会において、そのフロントランナーとして活躍してもらいたいと願っています。

卒業に当たり、今一度、新潟大学の理念「自律と創生」についてお話ししたいと思います。「自律と創生」の「自律」は、まさにその言葉の通り、自分自身で立てた規範に従って行動すること、そして「創生」は新たなものを作り出すことです。新潟大学は、この「自律と創生」の教育理念のもとで皆さんに接し、新潟のシンボルでもある柳のように、あの柳の枝のようにしなやかで折れない「真の強さ」を持った人材が育つことを願っています。したがって、新潟大学で学んだ皆さんは、他人の真似ではなく、「常に自分で自分の規範を立てる習慣」を養ってくれたと私は信じています。

それは、自分自身で物事をよく見聞きし、事実を自分の目で見極めて、正しく判断していく、そういう習慣です。どうか、皆さんが、新潟大学を巣立ってもその心を忘れずに活躍してほしいと願っています。

最後に新潟大学の将来ビジョンのことをお話しします。新潟大学は昨年2月末に10年後を見据えた将来ビジョンを策定しました。そこでは、直近の未来である2030年に向けて、新潟大学が果たすべきミッションを、「未来のライフ・イノベーションのフロントランナー」となることと定めています。

ここでいう「ライフ・イノベーション」とは、単に「医療・健康・福祉分野」に留まらず、21世紀を生きる我々の「生命」、「人生」、「生き方」、「社会の在り方」、「環境との関わり」と、それらの土台となる「地球」や「自然」についての新たな価値と意味を生み出すための革新を指しています。そして、新潟大学は、未来の人間社会に資する研究と、未来の社会に活躍する人材の育成を進めたいと思います。

どうか、皆さんも新潟大学の理念を忘れずに、そしてこの新潟大学の将来ビジョンを共有して、未来の社会に羽ばたいていただきたいと思います。そのためには、卒業・修了後も知的好奇心を持ち続け、学ぶ事を忘れないでいてもらいたいと思います。そして、自身の目標を失わず、その目標に向かって進んでいってください。

中国の思想家の一人、荘子、荘周の著書『荘子』の冒頭に、「北冥有魚」で始まる話があります。北の果ての海に魚がいて、その名を鯤という。その鯤という魚はいったい何千里あるかは見当もつかない大きさで、あるとき鵬という空を覆うような巨大な鳥に成長する。その翼は大空いっぱいを覆う雲のような大きさであるという話です。皆さんもこの話のように、新潟大学から未来に大きく羽ばたいてくれるにちがいないと、私は大いに期待しています。

皆さん、新潟大学は皆さんの母校であり故郷です。新潟大学で学んだ誇りをもって、未来への一歩を踏み出してください。新潟大学はこれからも皆さんを見守っています。そして、皆さんが、皆さんの後に続く在校生たちの目標となるように、各方面で活躍してくれることを願っています。

皆さんの未来に幸多きことを祈り、私の告辞とします。

本日はまことにおめでとうございます。

令和4年3月23日
新潟大学長 牛木辰男