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学長メッセージ

令和4年度秋季卒業式 学長告辞

卒業生・修了生の皆さん、卒業・修了まことにおめでとうございます。新潟大学を代表して、心からお祝いを申し上げます。

この2年半は、新型コロナウイルス感染症COVID-19の世界大流行、すなわちパンデミックによって世界はすっかり変わりました。人類はこの未知のウイルスに直面し、英知を結集しながらこの感染症と格闘してきたわけですが、いまだその収束までには至っていません。この数年間で私たちのコロナ前の日常の暮らしは一転し、医療や社会の仕組みだけでなく、教育の世界まで大きく制限を受けることとなりました。皆さんの学生生活もほぼすべて非対面のオンライン授業となってしまいましたし、特に留学生の皆さんは、母国に帰ることができない、あるいは日本に来ることができないという、大変厳しい大学生活になったのではないかと思います。私たち大学関係者も、皆さんの学修機会を最大限守るために全力を尽くしてきましたが、コロナ前のような伸びやかな大学生活の場を皆さんに提供できなかったことを大変残念に思います。しかし、その中で、皆さんがこの卒業の日を迎えることになったことを、本当にうれしく思っています。

ところで、私たちは偶然にこの大きな出来事に出くわすことになったのでしょうか?少し考えてみれば、感染症の大流行は人類の歴史の中に幾度も起こってきていることに気づくでしょう。もちろん今回の大流行は、航空機で世界を自由に移動できる現代だからこそ、ここまで急速に拡大したと言えなくもありません。しかし、古くは天然痘、ペスト、近年ではインフルエンザの大流行が繰り返されてきましたし、今回の原因になったコロナウイルスにしても、20年前にSARSとして大流行が起こっていました。その点では、たまたま私たちが運悪くその時代に出くわした、というよりは、こうした大流行が何時起きても不思議ではなかったということもできるでしょう。それは地震のような天災ともよく似ているかもしれません。

偶然と思いたくなるのは、私たちが、心のどこかで、今日と同じ平穏な日がまた明日に続くと思い込んでいるところがあるからではないでしょうか。それが日常というものかもしれません。

しかし、そうした中で、このコロナ禍は私たちに、今日という日は永遠に続かないことを、未来は予測できないことに満ちているということを改めて気づかせてくれたのではないかと思います。そして、私たちは、予測できない未来に対して、もっともっと立ち向かう力をもたなければならない、ということを実感しました。

さて、皆さんは新潟大学の理念が、「自律と創生」であるということを覚えているでしょうか。この理念の「自律」は、まさにその言葉の通り、自分自身で立てた規範に従って行動すること、そして「創生」は新たなものを作り出すことです。新潟大学は、この「自律と創生」の教育理念のもとで皆さんに接してきました。

この「自律と創生」の精神をもう少し言い換えれば、他人の真似ではなく、自分自身で物事をよく見聞きし、事実を自分の目で見極めて、正しく判断していく、そういう習慣を持つことです。そして、それは、新潟のシンボルでもある柳のように、あの柳の枝のようにしなやかで折れない「真の強さ」を持つことにつながります。

私は、新潟大学で学んだ皆さんが、この「自律と創生」の理念と「真の強さ」をもって卒業してくれるものと信じています。それは、予測できない未来に立ち向かう力ということもできるでしょう。皆さん、どうかこの新潟大学の理念を忘れずに、未来の社会に羽ばたいていってください。

皆さんはこれからの人生においてさまざまなことに遭遇することになるでしょう。きっとその時に、皆さんが学んだ「真の強さ」が役立つことになるに違いありません。それが皆さんの道を照らす灯りとなり、行くべき道に導いてくれると思います。

そして、卒業・修了後も、皆さんが知的好奇心を持ち続け、学ぶことを忘れないでいてもらいたいと願っています。知的好奇心は創造力の源です。そして継続は力です。どうか「知的好奇心」を失わず、「学び続けること」を忘れず、さまざまなことに挑戦し、そして自身の目標を失わずに、その目標に向かって進んでいってください。

最後に新潟大学の将来ビジョンのことをお話しします。新潟大学は昨年2月末に10年後を見据えた将来ビジョンを策定しました。そこでは、直近の未来である2030年に向けて、新潟大学が果たすべきミッションを、「未来のライフ・イノベーションのフロントランナー」となることと定めています。

ここでいう「ライフ・イノベーション」とは、単に「医療・健康・福祉分野」に留まらず、21世紀を生きる我々の「生命」、「人生」、「生き方」、「社会の在り方」、「環境との関わり」と、それらの土台となる「地球」や「自然」についての新たな価値と意味を生み出すための革新を指しています。

すなわち、新潟大学が目指す「ライフ・イノベーション」は、未来の人間社会に資する研究と社会とのかかわりのことです。これは、卒業・修了する皆さんと共有できるものです。

皆さん、新潟大学は皆さんの母校であり故郷です。新潟大学で学んだ誇りをもって、未来への一歩を踏み出してください。新潟大学はこれからも皆さんを見守っています。そして、皆さんが、どこにいても新潟大学と絆を結びながら、未来のライフ・イノベーションのフロントランナーとして活躍されることを再度願って、私の告辞とします。

卒業生・修了生の皆さん、卒業・修了まことにおめでとうございます。

令和4年9月20日
新潟大学長 牛木辰男