今の時代を貪欲に生きる大学生の「大学生活の使いかた」

教員コラム(若手研究者) 2026.01.27
高澤陽二郎 経済科学部 助教

私が大学を卒業した2005年には“ちょい不良(ワル)オヤジ”という言葉が流行していたそうですが、今はもう2026年。ここ最近の大学生はいったい何に関心を持ち、どんな大学生活を送っているのか、皆さんご存知でしょうか。

もちろん昔と同様、学んでいる内容や関心ごとは一人ひとり異なりますし、大学生活のありようも人によって様々です。一方で、昨今の時代の流れを象徴するような社会からの大学生への期待は、誰しもに等しく寄せられています。
例えば経済界からは、データサイエンス等の知識・スキル、国籍や背景の異なる他者と協働するタフな経験、“問題発見・解決力”のように抽象化された多くの「〇〇力」など、学生が身につけることを期待される現代的な能力・態度・経験を挙げればキリがありません。また特に地方では人口減少/地域からの若者流出が叫ばれる中、地域活性化や地元への就職・定着をねらい、多くの地元企業・自治体・就職支援会社等が血眼になって大学生との接点を求めています。そしてそうした期待は実際に、大学のカリキュラムへの反映、大学外からの様々なプログラムへの参加のお誘い、就職活動の早期化・日常化といった形で、学生の大学生活に影響を及ぼしています。もちろんこうした流れは、大学入学以前の小・中・高の教育改革の動きとも繋がっています。

前置きが長くなりましたが、こうして、すでに“象牙の塔”ではいられなくなった大学とそこでの数年間の大学生活を、当事者である大学生が自分でどんなふうに意味づけ、それぞれに異なるMyキャンパスライフを構築し、自己の学び・成長に変えていこうとしているのか?それが私の研究テーマです。

教育機関の側からではなく、大学生という個人の側から見た際には、大学生活という数年間の時間は、大学が提供する教室・研究室での学習機会だけでなく、その他さまざまな要素によって占められています。

経験の図大学生活における多様な経験の一例

特に社会との接続といった点では、サークルや部活動、アルバイトなどの従来から盛んだった課外活動はもちろんのこと、大学の準正課(単位は付与されないが、大学が何らかの教育的意図をもって行う活動)として行われるプロジェクト型の活動や、社会人/地域住民/他大学生と接する学外の多様な活動・コミュニティに関わる学生も増えています。またコロナ禍以降は特に様々なコンテンツのオンライン化も進み、物理的な制約を越えて会合・イベントへのアクセスが容易になったことで、学生を取り巻く学び・経験のための資源・機会はますます豊富になり、かつ多様化しています。もちろん、大学が授業の一環として行うフィールドワークや地域・企業の課題解決活動等も今では多くあります。

多くの大学生は、上記の図に示したような多様な活動に並行して関わります。授業や課題と併せて、同時にいくつものコミュニティに属して役割を抱え、多忙さを訴える学生もよく見かけます。
私が研究する大学生の学習に関わる分野で、ラーニング・ブリッジングという概念があります。これは「複数の場面における学習を架橋すること」を指します。
私は、いわゆる授業での学習と課外活動で得られる気づきが全く“別物”だとは思っていません。実際、私は大学生にインタビューすることが多くあるのですが、それぞれの活動で得られた知識/考え方/興味関心/態度・習慣が場面を越えて繋がり、発揮され、その人を形作っていった過程をこれまでにたくさん聞かせてもらいました。また、そうした大学時代の経験が卒業後、職業人としての能力の発揮とどう関係するのかも調査を行っています。

最近では、こうした研究を起点として、今を貪欲に生きる大学生の多様な「大学生活の使いかた」を紹介するポッドキャスト番組をインターネット上で配信しています。これからの時代を“大学生”として過ごすことを考えている多くの高校生などにもぜひ届けられるよう、今後は情報発信をより充実させていく予定です。

ポッドキャストポッドキャスト番組「大学生インタビュー」

プロフィール

高澤陽二郎

経済科学部 助教

博士(学術)。経済科学部助教(地域リーダープログラム担当)。専門は大学教育学。大学生の多様な学びと成長、社会へのトランジション等を研究。民間企業での勤務、NPOスタッフ、個人事業主を経て、2013年から新潟大学に勤務。2023年4月より現職。

研究者総覧

※記事の内容、プロフィール等は2026年1月時点のものです。

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