超高解像度観測による高エネルギー 天体現象(ブラックホール)の解明

不可視の天体・ブラックホールを 超高解像度で撮影する

研究 2022.08.24
小山翔子 創生学部 助教

100年以上前からアインシュタインの『一般相対性理論』によって、非常に強い重力を持った天体として理論的に存在を予測されていたブラックホール。小山翔子助教は高解像度で天体を観測することができる「超長基線電波干渉計」を使ってブラックホールに関連する研究を行っている。

「ブラックホールは誰もが知っていて知的好奇心が刺激される存在である一方、光をも吸い込む漆黒の天体で、直接目で見ることはできません。観測できる装置がないことが研究の大きな課題でした。一部のブラックホールの周辺には強い重力で吸い込まれるガスで形成される降着流や、光速に近い速さで銀河の外へと噴出するジェットと呼ばれるプラズマ流が存在します。これらの観測可能な現象を捉え、物理的メカニズムを解明することがブラックホール研究の重要なテーマです」

2017年からは「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」に参加。これは、世界各地の電波望遠鏡を繋ぎ合わせた地球サイズの望遠鏡を仮想的に構築し、ブラックホールを撮影する国際プロジェクトだ。そして2019年、楕円銀河M87の中心にある巨大ブラックホール撮影成功を発表。世界中に大きなインパクトを与えた。また、今年5月には天の川銀河の中心にあるブラックホール、いて座A* (エースター)の撮影成功を発表。小山助教は画像化作業班に加わり、ブラックホールの存在を視覚的に証明した。

「2017年4月に撮影した観測データから、M87に続く2例目として、今回いて座A*を画像化することができました。私たちが暮らす天の川銀河とブラックホールの関係性を探る、貴重な手がかりになると考えています」

この4月には小山助教の提案でEHTを活用したブラックホールの周辺から高速でプラズマガスを噴出するジェットと呼ばれる現象の観測も行われた。

「ブラックホールをエネルギー源とする天体が、ガンマ線やX線などの超高エネルギーをどのように放射しているのかを超高解像度で撮像し、その原理を探っています。未だに多くの謎に満ちているブラックホールの仕組みの解明に挑戦し続けます」

EHT望遠鏡配置図(2018年以降)。いて座A*等を撮影した2017年の8局から増え現在は11局に。「1億年に1秒しか誤差が出ない」といわれる原子時計を用いて撮影される
©NRAO/AUI/NSF

天の川銀河中心のブラックホールの画像。中央部分がブラックホールの強力な重力により作り出された「ブラックホールシャドウ」と呼ばれる影
©EHT Collaboration

プロフィール

小山翔子

創生学部 助教

専門は電波天文学、宇宙物理学。巨大ブラックホールジェットの観測的研究を行っている。

研究者総覧

素顔

台湾での研究員時代に、グリーンランド・チューレ空軍基地でブラックホール観測に参加した小山助教。年末年始の観測シーズンはマイナス40度前後の寒さに加え、24時間一度も太陽が昇らない極夜となったそう。精神的にかなり追い詰められつつも、ブラックホールからの電磁波を今まさに望遠鏡で受信して記録しているんだ!と思うととても興奮したという。
ダンダス山を背景に海上にて撮影(2018年3月)。

 

 

関連リンク

タグ(キーワード)

この記事をシェア

掲載誌

この記事は、新潟大学季刊広報誌「六花」第41号にも掲載されています。

新潟大学季刊広報誌「六花」

ページの先頭へ戻る