太陽電池で作る新しい未来

新潟大学教員によるコラム“知見と生活のあいだ“

教員コラム 2022.12.06
城内紗千子 工学部 准教授

カーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーの活用は注目を集めています。ヨーロッパでは、2035年までに風力発電と太陽光発電の設備容量の大幅増加が見込まれており、日本だけでなく世界全体がエネルギーの転換期を迎え大きく動き出しているといえます。なかでも、太陽光発電は天候の影響は受けるものの設備導入費が安価なため、再生可能エネルギーの大きな柱になると期待されています。ですが、日本ではメガソーラーを新設する土地を確保できるのは一部のみで適地は年々減少しています。さらに、自然災害における安全面や景観などが懸念されており制約があるのが現実です。ヨーロッパでは、デザイン性のあるカラフル太陽電池を使ったアート作品や窓ガラス、モニュメントがあちらこちらに設置されており、景観にも配慮されています(下図)。

日本でも太陽光発電による発電量を増やすためには、地上設置型太陽光発電システムだけでなく、公共の駐車場、営農型、水上型、建物の壁面や車載用など従来の太陽電池とは異なる使用方法でのブレイクスルーが必須といえます。しかし、これらの太陽電池は、従来の太陽電池とは異なる使用方法のため、どれだけ耐久性があるのか、安全に使えるのかといったことはまだ十分にわかっているとは言えません。例えば、同じ太陽電池セルを家の屋根に設置した場合と車のルーフで使用した場合を比較してみます。家の屋根に設置する場合、太陽電池の形状は平面パネルを使用し、取り付ける方角や位置を選ぶことができます。一方、車のルーフに取り付ける場合、ルーフの形状に合わせなければならない、かつ軽量でなければなりません。さらに、車は移動体のため、建物や雲などの影の影響を大きく受けます。このように同じ太陽電池セルを使っていたとしても、使用用途に合わせた材料と構造が求められるため、耐久性もそれぞれ異なる可能性があります。今後、太陽電池のさらなる実用化に向けて、安全に使用するための十分な耐久性試験は、ますます重要になってくるでしょう。安心して使えるカラフルなデザイン性のある太陽電池を自分の住んでいる街の駐車場、電灯、道路、モニュメント、壁面など、あらゆるところに発電機能として盛り込んでいけば、街全体を巨大な発電所とすることができます。太陽電池を単なる発電技術として使うのではなく、他の技術と融合して街の一部に溶け込ませていくことでカーボンニュートラル達成につなげていきたいです。

さまざまな太陽電池

オランダの企業フィジーがアイントフォーヘン内の銀行に取り付けた窓太陽電池。(左)外観と(右)内観。

オランダの学生が作製したソーラーキャンピングカー“ステラヴィータ”。最大速度120km/h、1日で約700km走行でき、車の中には冷蔵庫、ベッド、シーリング灯、シャワー、トイレも完備。

プロフィール

城内紗千子

工学部 准教授

専門は、有機薄膜デバイスの作製と評価。主に、高効率で小型、フレキシブルなデバイスの作製と発電メカニズムについて研究。また、太陽電池の信頼性評価も取り組む。

研究者総覧

※記事の内容、プロフィール等は2022年11月当時のものです。

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掲載誌

この記事は、新潟大学季刊広報誌「六花」第42号にも掲載されています。

新潟大学季刊広報誌「六花」

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