発汗による体温調節機能のメカニズム解明

運動と体温調節

研究 2021.12.03
天野達郎 教育学部 准教授

天野達郎准教授は、体温・循環・呼吸調節反応からヒトの生体調節機能、特に発汗について研究を進めています。動物の中で汗をかいて効率的に体温調節できるのはヒトだけですが、その発汗能力には個人差があります。

「日常的に運動する人は、しない人と比べて発汗能力が高い傾向があります。その能力の違いはどこから生じるのかを明らかにしていきます」

実験は教育学部内にある、温度や湿度を調節できる専用の研究施設で実施します。協力者の皮膚に発汗カプセルを貼り付けて水分量を計測し、直腸や食道など体の深部体温、心拍数、血圧などの数値と組み合わせ、総合的に運動中の体の反応を評価する実験を行っています。また、皮膚に薬を染み込ませて、皮膚の汗腺や血流調節のメカニズムを調べる薬理的研究も進めます。

「汗は汗腺から出ますが、汗の生成には様々な受容体や神経、ホルモンが関係しています。汗腺では神経伝達物質であるアセチルコリンによって汗が生成されることはよく知られています。しかし、運動中に観察される発汗量は、アセチルコリン受容体を薬理的に刺激したときに生成される発汗量より多くなります。研究の結果、アセチルコリン以外の仕組みも発汗に関与していること、またそれが発汗の個人差を生む一つの理由になっていることが分かってきました」

発汗と体温調節機能のメカニズムの探求は、教育やスポーツパフォーマンス、健康維持増進、さらには食品、衣服、化粧品の製品開発などへの展開が期待できます。また、近年、夏季に発症者が急増し予防対策が急務となっている熱中症は、体内の水分や塩分が不足することによる脱水症状を引き起こします。天野准教授の研究が大いに貢献できる分野の一つです。

「現在、子どもを対象にした熱中症予防の研究も行っています。子どもが自分の体調の変化を意識することは難しいのですが、尿の色が脱水症状のサインになるという知識を持つことで予防につながります。また過度の発汗は脱水を引き起こす可能性もありますが、それを予防・改善するような飲料の成分研究にも取り組んでいます。2021年10月からは、NTTとの共同研究で汗から体の不調を感知できるウェラブルデバイスの研究開発も進めていきます」

ランニング時のエネルギー代謝や体温調節の実験
汗腺や皮膚血管の薬理実験

天野准教授自身が被験者をしている実験

プロフィール

天野達郎

教育学部 准教授

博士(学術)。専門は運動生理学。ヒトを対象に暑熱ストレスや運動に対する体温調節反応に関する研究を行っている。

研究者総覧

素顔

学生時代は陸上部に所属して全国大会にも出場していた天野准教授。今でも夜のランニングをするなど、日常的に体を動かしているそうです。休みの日は3人の子どもと遊んだり、家事をしたりとパパ業に専念してるとのこと。家族との時間は充実しているけれども、大学院生の時のように毎日研究できなくなったのは少し悲しいんだとか。

※記事の内容、プロフィール等は2021年11月当時のものです。

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掲載誌

この記事は、新潟大学統合報告書2021にも掲載されています。

新潟大学統合報告書2021

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