シェアハウスから始めるまちづくり

大学生活を送るうえで、やりがいや目標をもって活動している輝く新大生を紹介するこのコーナー。今回は、岩室温泉で「岩室シェアハウスとも家」を運営してまちづくりに取り組んでいる博士前期課程1年の宮将太さんにお話を伺いました。
プロフィール

宮 将太
■出身:新潟市
■好きなこと:まちづくり、スキー
■新大の好きな場所:社会学合同研究室、院生室
Q.「岩室シェアハウス とも家」について詳しく教えてください。
シェアハウスとしてはもちろんですが、勉強会や講演会を開くイベントスペース、シェアハウスの住民や地域の方が集まるコミュニティスペースとしても運営しています。「私の公民館」として、シェアハウスを訪れる人が関心を持つ分野をとことん突き詰められる場を目指しています。例えば、1年間食べる量の米を稲作したり、鶏を飼って卵を自給したりしています。「生きるとはどういうことか」という課題と、それと切り離せない農業に関心のあるルームメイトが集まって活動していますね。
Q.活動を始めたきっかけを教えてください。
新型コロナウイルスの流行が主なきっかけです。地域創生やまちづくりをとことん突き詰めたいという思いで大学に入学しましたが、コロナ禍で授業はずっとオンラインで、社会から遮断された生活を余儀なくされました。思い描いていた大学生活ができない中で「学ぶこととはなにか」「生きることとはなにか」という疑問を持つようになります。そこで、遮断された生活から抜け出して実践からまちづくりを学びたいと考え 、岩室温泉のシェアハウスに移り住むことにしました。岩室で農業の実践をしたり、とも家としてコミュニティづくりをしたりするうちに、大家さんから声がかかって管理を引き継ぐことになり今に至ります。
▲稲を天日干しするハザ場を制作した宮さんとルームメイト
Q.活動をしていてやりがいを感じることは何ですか。
勉強会や講演会などの場を設け、コーディネートして、用意していたものを参加者の方が体感、体験し、喜びや楽しさを感じてくれた時、気づきにつなげてくれた時、今まで普通だと思っていたものに対して疑問に思う感覚を得てくれた時はやりがいを感じます。例えば専門家の方をお招きして講演会を行う際、来場者が先生の話を聞き、新しい知識を得ると、これまで自身が抱いてきた常識や哲学に違和感を抱くことがあります。そして、他者の倫理を取り入れて自身の人生観を変えていきます。「気づく」ことで生まれた人生観は、先生の哲学をそのままに教授したものではなく、自身の感覚にも則ったものだと思います。その感覚と出会うことは、より自分らしくもありながら他のものをも包括したアイデンティティを形成すると思います。
私も暗中模索の中で、何が正しいか分からない中で活動を行っていますが、それを他の人に受け止めてもらって、評価された瞬間、喜ばれた瞬間というのは何よりも嬉しい瞬間だと思います。
▲勉強会の様子
Q.活動の際の印象に残っているエピソードを教えてください。
皆で集まって楽しく賑わう場はいつも印象に残っています。例えば、先日田植えがありました。皆で手植えをして、昼食の時間には皆が出てきてわいわいしながら食べ、終わると「やったね!」と賑やかになるような、そういった瞬間は全て私にとっては印象的で、とても嬉しく、満たされています。
Q.「岩室シェハウスとも家」の目標と、宮さん個人の目標を教えてください。
シェアハウスとしては岩室温泉で何かを探求したいと思った人が思う存分自由にその探求を続けられる場所を作っていくことが目標です。しかし、シェアハウスに集まってくる人たちの探求分野や興味関心、理想としているものは違います。例えば「とも家」では複数人で一つの田んぼを作っていますが、田んぼの作り方をとっても様々な考え方を持った人が集まっています。そのため、考え方が衝突することも少なくありません。それでも互いの考え方をすり合わせ、妥協点を探っていきます。このように、それぞれがどのように折り合いをつけていけるかという能力を高められるような場所にしていきたいと思っています。
個人としては、何かに挑戦したり探求したりしようと思っている人がどうすればよいかと迷ったときに様々なものを用意し、それぞれが探求しているものに向き合えるような環境をコーディネートできる存在になりたいです。
▲田植えの際に撮影した集合写真
Q.新大生へメッセージをお願いします。
「慎慮と愚直」という姿勢を持ち何事にもチャレンジしてほしいと思っています。自分が正しいと思っていることに対して常に疑問を持ち、他者の新たな視点も取り入れる。それと同時に、自分の信念に対して周りの人に馬鹿だと言われようと信じてまっすぐ進むことも重要だと思っています。自分の興味関心や大切にしていることを疑いながらも大事に持ち続けて欲しいです。
◎岩室シェアハウスとも家の情報はこちらから!!
スタッフ感想
スタッフ感想
シェアハウスには閉じたコミュニティという印象を持っていたので、シェアハウスからまちづくりをするという宮さんの活動は興味深いものでした。私も地域コミュニティに貢献できる人材になりたいと感じました。(石川)
様々な挑戦の場を提供し、新たなコミュニティを作り出す宮さんの活動は素晴らしいと思いました。私もコミュニティへの参加等を通じ、新たな発見や探求を得たいと感じました。(玉水)
まちづくりへの真っ直ぐな心持ちと、現状や結果に甘んじることなく常に実践と反省を繰り返す宮さんの姿勢はまさに「慎慮と愚直」を体現しているように感じました。どんなことでも自分の抱いた好奇心や興味関心を大切にして行動していきたいと思いました。(春名)