米粉のチュロッキー「ここちゅ」開発の裏側

各学部のゼミや研究室を訪れて取材し、紹介するこのコーナー。 今回はマーケティングを実践的に学ぶ経済科学部石塚ゼミを取材しました♪
プロフィール

石塚千賀子 准教授
新潟県出身。ルイ・ヴィトン株式会社やクリスチャンディオールなどで勤務後、新潟大学大学院で博士号取得。現在は経済科学部准教授として活躍中。
今年5月、新大生がローソンとコラボした米粉のチュロッキー「ここちゅ」が発売されました。「ここちゅ」には「食料自給率向上」という課題を意識して米粉が使用されており、食感や写真映えを意識して開発されています。
▲ローソン新潟大学店で販売される「ここちゅ」
そんな「ここちゅ」開発に携わった学生たちが所属するのが、経済科学部石塚千賀子先生のゼミです。20人以上の学生が所属し、実践を通したマーケティングの学びが行われています。
今回のゼミ研では、石塚千賀子先生と「ここちゅ」開発メンバーの3人に取材します。
石塚先生にゼミの研究内容や特徴についてお聞きしました。
Q.ゼミではどんな研究を行っていますか?
新潟市や新潟県からの依頼で、学生たちでマーケティングの視点から課題解決にむけて議論しています。学生を4人ずつ程度の班に分けてそれぞれが別の角度から課題に取り組み、最後には市や県職員の方々へ向けてプレゼンテーションを行います。学生が中心となって、一緒にゼミを通じて学んでいます。
▲ゼミでのプレゼンテーション
Q.ゼミの中で大切にしていることは何ですか?
行動方針として「誰がやってもいいことは自分がやる」ということ、ミッションとして「マーケティングを通じて社会に1ミリ貢献する」ということを大切にしています。学生たちが、率先して誰かのために行動できる経験を積んでほしいと思っています。
ゼミでは、まず与えられた課題の捉え直しから始まります。市や県からの課題を分析してみると、想定していたものとは異なる要因が見えてくることがあります。現状を詳しく見つめ直した上で解決策を検討するプロセスを通じ、学生には成長してほしいと考えています。
Q.このゼミでしかできないことはありますか?
長野県に遠征して酒米の無農薬栽培の田んぼの草取りをしたり、観光をしてゼミ生同士の交流を深めたりしています。見学する蔵元では、日本酒製造から地球環境問題に取り組もうとしています。高い志を持つ生産者の考え方に触れて自分もその一部となる体験をし、一方で、観光で楽しい時間を過ごすことで、楽しみながら学ぶことができます。
▲長野遠征で草取りをする様子
Q.先生自身の研究内容を教えてください。
私自身はラグジュアリーブランドの顧客の購買行動やデータ知覚を研究しています。また、日本酒という伝統産業に着目して、ラグジュアリー製品同様にその嗜好性の高い製品の価値共創や、日本酒独自のラグジュアリー要件を探索しています。
Q.印象的な学生時代の思い出は何ですか?
社会人として働きながら博士課程に進んだことです。それまでの学生生活は要領の良さで乗り越えてきましたが、博士課程で苦しむ中で、改めて愚直に努力を積み重ねていくことの大切さを学べました。
Q.教員になった理由を教えてください。
成り行きという部分が大きいです。元々民間の企業で働いていましたが、東日本大震災をきっかけに当時やっていた仕事に違和感が出てきて、それがだんだん強くなりました。このような思いがあった中で博士課程に進み、当時の指導教員が大学での仕事という選択肢を勧めてくれたことが大きなきっかけです。
Q.新大生へのメッセージをお願いします。
たくさん挑戦してほしいと思っています。人にたくさん会ったり、行動したりと些細なことでもいいので、今まで自分のしたことのないことを一つでも多くやってほしいです。何かに取り組むときには苦しいこともあるけれど、成長もできます。私自身一歩踏み出すのは正直苦しいです。でも成長につながるその過程は嫌いではありません。
未来ある学生のみなさんには、日々挑戦して昨日と違う自分を楽しんでもらいたいです。
▲取材を受ける石塚先生
「ここちゅ」の開発メンバーである門田麗愛さん(4年)、星川美夕さん(4年)、井上翔晶さん(4年)にお話を伺いました!
※もう一人のメンバー松本直樹さん(4年)は欠席でした。
▲左から井上翔晶さん、星川美夕さん、門田麗愛さん
Q.石塚ゼミを選んだ理由を教えてください。

門田さん
高校時代からマーケティングに興味がありました。石塚先生の授業を受けてマーケティングへの関心が深まり、先生の人柄にも惹かれたことからこのゼミを選びました。

星川さん
地域に関わることができる点が決め手でした。私は公務員志望なので、このゼミに入ればマーケティング以外にも就職後に役立つ学びが得られると考えました。

井上さん
先輩から「大変だけど、やりがいがあって楽しいゼミだよ」と勧められたことがきっかけです。何かに挑戦したい気持ちもありましたし、先生の学生一人一人に向き合う姿勢に感銘を受けたこともあってこのゼミに決めました。
Q.ゼミはどのような雰囲気ですか?

門田さん
挑戦する学生の背中を押してくれる雰囲気があります。挑戦したいと思う気持ちを先生や先輩が肯定してくれるので、一歩踏み出す勇気をもらえます。

星川さん
プライベートでも一緒にご飯に行ったりスポーツをしたりしてとても仲が良いです。普段の交流がゼミでのグループワークを活発にさせていると思います。

井上さん
普段から仲が良いですが、プレゼンテーションが近づいてくると何時間も議論することがあります。メリハリがある点が良い雰囲気を作っていると思いますね。
Q.「ここちゅ」の開発に至った経緯を教えてください。

門田さん
新潟県の農業総務課政策室から食料自給率の向上という課題をいただいて、現4年生が6班に分かれてそれぞれが課題に取り組みました。その中で私たちの班は米粉の消費につながるようなアプローチをしたいと考えました。様々な案を考える中でメンバー全員がパン好きであることから、米粉パンを作りたいという話になりました。そこで、県の食品流通課の方に相談しローソンにつなげていただいて販売に至りました。
Q.ゼミで得られたこと、経験はありますか?

門田さん
挑戦することに対して背中を押してくれる環境なので、挑戦することの大切さを学べました。今回のローソンとのコラボは、「ここちゅ」販売という良い結果を出すことができたので、失敗を恐れず諦めず挑戦することの大切さを改めて実感しました。また、今までは座学でマーケティングを学ぶのみでしたが実践的なマーケティングの経験が積めました。

星川さん
行動力と動き出しの速さの重要性を学びました。ローソンとの連携は、既に決まっていた新潟フェアに間に合わせる形で私たちが案を出しました。もう少し提案が遅かったら今回のコラボは間に合っていなかったのではないかと思っています。思い立ったら早めに、挑戦・失敗を恐れずに行動することが大切だと思いました。

井上さん
相手の視点に立つことを学びました。ローソンに提案するときも熱意が伝わりやすいプレゼン方法を考えたからこそ現在の状況につながっていると考えます。また、授業のプレゼンでも伝わりやすいスライドや話し方を考える一年になりました。
Q.今後の目標を教えてください。

門田さん
好奇心旺盛な性格を活かして様々なことに挑戦したいと思っています。そのため、卒業後もいままでやったことのない仕事など、様々なことに取り組みたい思っています。また、入社予定の会社が挑戦を後押ししてくれそうな会社なので、自分から手を挙げ様々なことに挑戦したいです。

星川さん
卒業後に公務員として働くので、ゼミで培った周囲と連携し円滑に行動していく力を発揮したいと思っています。

井上さん
私も公務員として就職しようと考えています。私は新潟県で育ったので、恩返しも含めて新潟県で活躍できるような人材になりたいと思っています。
スタッフ感想
どの学生も積極的に行動しており、とても感銘を受けました。早く恐れずに行動することは、ゼミに限らず重要な心構えだと思います。私も挑戦する心を忘れずにいたいです。(石川)
取材の様子からもメンバーの方々の仲の良さが伝わってきました。この仲の良さも様々なアイデアの創出につながっているのではないかと感じました。(玉水)