「今」が将来役に立つ

将来どんなことをしたいか迷っている新大生に向けて、社会で活躍する卒業生から話を聞き紹介するこのコーナー。 今回は経済学部卒業生で現在は第一建設工業株式会社に勤める鹿野幸大さんにお話を伺いました♪
プロフィール
鹿野幸大
山形県山形市出身。2023年に新潟大学経済学部を卒業し、第一建設工業株式会社に新卒入社。現在は不動産部に所属し、不動産事業を担当している。不動産事業は会社の資産運用として利益を生むことが要求される一方で、入居・利用されるお客様のニーズに寄り添うことも必要となるため、多角的な視点から物事を考えることを心掛けている。
■新大の好きな場所 :新潟大学生協書籍部
規模自体は他の書店に比べると大きくありませんが、各学部の学問に関係する本や漫画、小説、新書、資格の参考書などがあり、大学の様々な要素が少しずつ詰め込まれていて、それを体感できるところが好きでした。
企業情報
1942年設立。鉄道工事を基盤とした総合建設業として、安全・安心な社会インフラの整備を通じて人々の暮らしと地域社会の発展に貢献し、技術力と信頼をもって未来のまちづくりを支え続けている。
鹿野さんにインタビューしました
Q.まず鹿野さんの現在の所属と業務内容を教えてください。
第一建設工業株式会社の経営本部にある不動産部に所属しています。業務内容は賃貸事業用不動産の開発と取得です。開発は、賃貸マンションなどを建設する計画を立てて、工事の着工から竣工までを管理し、竣工したら物件案内をして対外的にアピールするなどの一連の業務を指します。取得は、中古物件を購入する業務を指します。すでに稼働している物件を売主の方とやり取りして売買契約を結び、当社の持ち物にして使うというものです。
Q.現在の仕事を選んだきっかけはなんでしょうか。
経営状況がよく、就労環境や待遇に不安がなかったことは大きいですが、就職活動の中で当社の鉄道工事を知り、社会的意義を感じたことも大きな要因となりました。
鉄道は日常生活に密着したものですよね。新大生の皆さんにも毎日利用される方は多いと思います。私が就職活動で触れた他の業界と比べて、日常生活に密着している印象がより強かったのでこの会社を選びました。
Q.実際に働いてみてからの感想を教えてください。
現在は入社時の想定とは異なる不動産関係の部署におりますが、同業者の方々や取引先の方々との関わりが多く、非常に刺激に富む仕事だと感じています。不動産業界は同業者の方との関わりからお仕事が生まれることがよくある業界です。取引先の方の人脈を辿っていくと元々自分たちと関わりのあった方々にたどり着くことがよくあります。すると知らず知らずのうちに様々な輪が出来上がっているんですよね。そのつながりを活かしてお互いのメリットになる仕事を共同で進めていくこともあるので、不動産業界は面白い業界だと感じています。

▲業務について語る鹿野さん
Q.大学時代にはどのような活動、学部での学びをしていらっしゃいましたか。
経済学部の講義が印象に残っています。経済学は他の学問と比べても非常に身近な学問だと思っています。例えば、個人的には数学を勉強しても実生活とのつながりが見えづらく、自分とは遠いことのように感じてしまうのですが、ミクロ経済学には「人は満足度を最大にするために行動する」という消費者理論が基盤にあり、学習内容を生活に落とし込みやすいんです。就職してからも役立てられていると思います。
大学の講義以外では飲食店でのアルバイトが印象に残っています。アルバイトを始めるまではコミュニケーションを積極的にとることが苦手でした。飲食店のホールという初対面のお客様と話さなければならない環境に置かれてステップアップできました。この経験が無かったら、就職活動の面接なども突破できていなかったと思っています。
Q.就職を意識してやったことは何かありますか。
先ほど話したアルバイトがそうですね。コロナ禍で人と会話する機会が乏しかったですし、就活で「ガクチカ」について話す必要もあると思い始めました。大学3年生のはじめくらいから始めたのでそこまで早い方ではなく、みんなやっているからやろうというような感じでした。
Q.今の仕事をする上で活きていると感じる大学時代の経験があれば教えてください。
先ほどの話とも重なりますが、アルバイトで、名前も知らない人と話すことに対する抵抗を減らせたというのは大きかったと思います。実際に会社に入るとその日初めて会った年齢の離れた社外の方と話さなければならない場面があります。このような場面で自然に礼儀正しく振舞えるレベルに学生時代に達する必要はないと思いますし、達することはできないと思いますが、抵抗を少しでも減らせたのは良かったと思います。
あとは先ほどの「人は満足度を最大にするために行動する」という学びは役に立ちました。学部での学びは企業に入って必ずしも役に立つということばかりではないと思います。ですが、学生時代の学びが思いがけず将来の仕事に役に立ったり趣味の入り口になることもあります。少しだけ意識を変えて興味を持ってみると、何かしらの意義を見出すことができると思います。受動的な心持ちで受ける授業は辛いと思うので、何かしら意義を探ってみると面白いかもしれません。
Q.仕事の中でやりがいを感じる瞬間があれば教えてください。
勉強した知識が活かされた瞬間です。今は宅地建物取引士という資格取得を目指して頑張っていますが、会社で得た知識が資格勉強するときに活かされるとやりがいを感じます。逆に資格勉強が会社での業務に活かされることもあります。「仕事のやりがいは?」と聞かれると「人の役に立つ実感を得ること」だと答える方も多いと思います。それに比べると私の考えるやりがいはすごくスケールが小さいかもしれません。しかし、人の役に立つ実感は相手の感情ありきで、こちらが頑張っても相手が応えてくれないこともあります。それを踏まえると、自分の努力が結実することはより確実に達成でき、モチベーションを保ちやすいんですよね。
Q.学生時代にしておけば良かったこと、しておいて良かったことはありますか。
学生から社会人になって状況や環境が変わっても、考え方ややりたいこと、やりたくないことは変わらないと思います。なので、学生のうちにしておけば良かった、社会人になったから何か張り切って特別なことを始めよう、などと、学生時代と社会に出てからを分けて考える必要はあまりないのではないかと感じています。今したいことはすればよく、今したくないことはする必要はなく、今、皆さんがしたいように過ごしていただければよいのではないかと思います。
それでもあえて学生時代にしておいて良かったことを挙げるとすれば、家族と長い時間を過ごしたことです。コロナ禍でオンライン授業が一般化していたので、実家に帰り、実家からオンライン授業を受けていました。就職した今は家族と離れて生活しています。なので、今思えば、学生時代は家族と長く過ごせる最後の時間でした。
Q.社会人になって初めて経験できたことを教えてください。
金銭的に自立したことが良い経験だと思います。社会人として一人暮らしをすると生活費を全て自分で支払わなければならないので、生活することの大変さを実感します。ですが、それはお金の貯め方や使い方を自分で自由に選択できることも意味します。学生の皆さんは金銭的に自立することを不安に思うこともあるかもしれませんが、案外プラスに感じることもあると思いますよ。
Q.今後の目標を教えてください。
自信を持って仕事ができるように、さらに知識と経験を積み重ねていきたいです。私はまだ入社3年目ですが、入社1年目と2年目の後輩に何かフォローができるよう、心がけていきたいと思っています。
Q.新大生へのメッセージをお願いします。
私も社会人としてやっていけるのか不安に思うことがありましたが、漠然とした不安を抱きながら時間を過ごしたり、何か特別なことをやろうと思ったりしなくても良いのではと思います。今、皆さんのこの瞬間に、目の前のことに集中することを続けていけばそれだけでいいと思います。先のことを考えてそこに向けて頑張っても、想定していなかった外的要因で挫折してしまうこともあると思います。なので、考えても仕方がないことを省いていくと、今やるべきことを一生懸命にやることしか残らないような気がしています。それぞれ状況は違いますが、同じ大学に在籍していた縁ということで、一緒にこれから頑張っていきましょう。ほんの少しだけ先で皆さんをお待ちしています。

スタッフ感想
社会人になることに不安を感じていましたが、「社会人になっても考え方ややりたいことは変わらない」という言葉に安心しました。鹿野さんのように、社会に出ても自分らしく振る舞うのを忘れないでいたいです。(石川)
私自身大学生活も折り返し、大学生のうちに何かしておかなければ、という危機感や、将来や進路に対する漠然とした不安を抱くことがあります。ですが、鹿野さんのお話を伺い、大学生や社会人という枠にとらわれず、”今”を大切にし、目の前のことに真摯に向き合っていきたいと思いました。(春名)
私も大学の講義を惰性で受けてしまったり、大学に行く意義について答えが見えなくなったりすることがあります。鹿野さんのお話から学べることは、今やっていることがいつか何かに繋がるかもしれないということではないでしょうか。限られた学生の時間において取捨選択も大事ですが、何かに繋がると信じて色々なことにチャレンジする気持ちも忘れないようにしたいと思います。(青木)
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