日本外交史・アジア政治外交史―東アジアにおける政治・国際関係の変容と日本の外交、日米韓関係―

日本外交史から読み解く日韓協力の歩み

研究(六花) 2026.03.12
李秉哲 法学部 助教

自身が10代を過ごした1990年代の韓国では、歴史教科書問題などを背景に反日感情が高まっていたと李秉哲助教は話す。

「当時の私もそのような風潮に影響を受けていましたが、日本の大衆文化に触れ、近代史に興味を持つうちに『韓国人が抱く日本のイメージは本当なのだろうか』と疑問を感じるようになりました。次第に日本は韓国にとって非常に重要な国と考えるようになり、大学では東アジアの国際関係を学び、2010年に留学生として来日しました」

従来の日韓の外交史研究では、両国の葛藤や、仲介役を務めたアメリカの役割に焦点を当てることが多かったという。しかし、李助教は、戦後における両国の協力の歴史を重点的に研究。外務省の外交文書を中心に関連史料を調べ、検証してきた。

「日本と韓国は、経済や外交、安全保障など多岐に渡る分野で協力をしてきました。当時の日本がどのような意図や戦略を持って、韓国との友好関係を築こうとしてきたのかを史実をもとに研究しています。歴史的な観点から先人たちの対応を読み解くことで、現在まで続く外交課題の背景を知ることもできます」

李助教によると、戦後の日韓協力は二国間の関係で完結するものではなく、大局的な戦略の一部だったという。
「戦後の国際情勢の中で、日本は中国・北朝鮮との複雑な関係に対応する必要があり、アメリカとの同盟関係を軸に東アジア全体の安定を図ろうとしていました。韓国との協力を前向きに進めた背景には、外交戦略的な意図があったのです」

今なお、日本と韓国の間には歴史認識の相違など様々な問題がある。李助教は国籍や歴史認識に捉われず、「研究者として謙虚に」研究を進めていきたいと続ける。そして、若者世代の交流が相互理解に繋がると期待している。

「私の学生時代も韓国では日本の映画やアニメ、音楽が大人気でした。映画『鬼滅の刃』は韓国でも大ヒットしています。両国の若者たちが相手に興味を持ち、基本的価値観を共有する大切な隣の国として理解することで未来は変わります。私の研究もその一助になることを願っています」


李助教の著書。主に1970年代末から1980年代半ばにおける
日本の東アジア外交、特に日本独自の対韓経済・外交協力について記した

プロフィール

李秉哲

法学部 助教

博士(法学)。専門は日本政治外交史・アジア政治外交史。2010年に研究生として日本の大学に留学。2024年10月、新潟大学に赴任。


研究者総覧

素顔

来日前から日本の大衆文化には興味があったものの、来日してからは日本の文化と歴史にも興味を持ったという李助教。最近は国内を旅行するのが楽しみだという。

※記事の内容、プロフィール等は2026年1月当時のものです。

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掲載誌

この記事は、新潟大学季刊広報誌「六花」第54・55号合併号にも掲載されています。

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