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大学院医歯学総合研究科の南野徹教授が令和元年度革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)に採択されました

2019年10月25日 金曜日 研究成果

本学大学院医歯学総合研究科南野徹教授が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の令和元年度 革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST) 研究開発領域「全ライフコースを対象とした個体の機能低下機構の解明」の研究開発代表者として採択されました(採択率7.9%、応募数38、採択数3)。

1. 革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)について

日本医療研究開発機構(AMED)が、革新的な医薬品や医療機器、医療技術等を創出することを目的に、客観的根拠に基づき国が定めた研究開発目標の下、組織の枠を超えた時限的な研究開発体制を構築して研究を推進する事業で、平成27年4月のAMED発足に伴い、これまでJSTで実施されていたCRESTのライフサイエンス分野が移管されたものです。AMED-CRESTでは、画期的シーズの創出に向けて国際的に高い水準の成果を目指し、研究開発代表者を筆頭とするユニット(研究者集団)で研究を推進します。

2. 研究プロジェクトの概要

加齢に伴って、糖尿病や動脈硬化、高血圧などの生活習慣病の罹患率が増加し、その結果、虚血性心疾患や脳卒中の発症の原因となっています。健康寿命を短縮しているこれらの疾患は、多くの高齢者において共通に認められることから、老化の形質の一部として捉えることができます。すなわち、これらの疾患の究極的な治療のターゲットは、老化を調節する仕組みそのものであると考えられます。しかし、これまで加齢に伴って個々の病気がどのように変化するかという観点からの研究は行われてきましたが、老化・寿命という側面からみた包括的な研究は行われていませんでした。

細胞老化仮説

老化・寿命のメカニズムの解明に関する研究は、最近20年間で飛躍的な進歩を遂げています。特に、加齢や過食などのストレスによって体内に蓄積した「老化細胞」が、様々な生活習慣病や認知症の原因となっていることが明らかになってきました。この様な考え方を「細胞老化仮説」と呼びますが、南野教授はこの分野において高い研究業績を上げています。例えば、血管が高血圧や高コレステロール血症などによるストレスを受けると、血管の細胞の老化が進み、虚血性心疾患の発症原因となること、過食によるストレスによって内臓脂肪に老化した細胞が蓄積することで、糖尿病の発症や進展に関わっていることなどを世界で初めて明らかにしました。また、老化した細胞が心臓に蓄積することで心不全になったり、一つの臓器が老化すると他の臓器の老化が進むなど、新たな知見を発表しています。

大学院医歯学総合研究科の南野徹教授が令和元年度革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST)採択

加齢や過食などのストレスによって体内に老化細胞の蓄積が加速するのはなぜか?

一方、上記問いに対して具体的な研究は進んでいませんでした。本研究課題では、様々な遺伝子改変マウスモデルや老化モデル解析技術、最新のオミックス解析技術などを結集することによって、この問いの答えを明らかにすることで、老化細胞を標的とした新たな抗老化治療の開発に挑みます。

3. 研究開発の将来展開

本研究による成果を基盤とした、一旦蓄積した老化細胞を除去する治療法の開発や、老化した細胞から放出される悪玉分子を標的にした治療法の開発が、飛躍的に進歩することが予想されます。これらの治療法の研究開発が実現すれば、一旦病的な老化が進んだ状態でも可逆的に改善させることが期待できます。これらの応用として、認知症や生活習慣病を含めた様々な加齢関連疾患の治療開発につながるとともに、社会的にも非常に大きなインパクトがあるものと思われます。

関連リンク

日本医療研究開発機構(AMED)ウェブサイト:平成31年(令和元年)度「革新的先端研究開発支援事業(AMED-CREST、PRIME)」の採択課題について

本件に関するお問い合わせ先

広報室
電話 025-262-7000

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