第2回新潟大学未来先導大学院推進シンポジウム「企業の未来を博士人材と切り拓く」を開催しました
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本学未来先導大学院推進本部は9月15日に第2回新潟大学未来先導大学院推進シンポジウム「企業の未来を博士人材と切り拓く」を、駅南キャンパスときめいとおよびオンラインで開催しました。
AIの進化や地域課題の複雑化により、事業の現場では自ら課題を発見し、解決策を構想できる人材への需要が高まっています。本シンポジウムでは、博士人材の活躍事例と企業での受入れ事例を通じて、その可能性と産業界での活かし方を考えました。当日は企業経営者や人事・採用担当者、高度人材の活用や育成に関心を持つ方など、100名近く(現地31名、オンライン65名)が参加しました。
開会にあたり、大鳥範和理事(教育・グローバル担当)・副学長が趣旨説明を行いました。博士人材数と労働生産性の国際比較データなどを示し、産業界で活躍する博士人材の育成は日本の競争力に関わる重要課題だと指摘。あわせて本学のメジャー・マイナー制や、文部科学省「未来を先導する世界トップレベル大学院教育拠点創出事業(FLAGs)」で進める「博士イノベーター」育成の構想を取り上げました。文理融合・学際環境の下で複合的な社会課題の解決に取り組む人材の輩出を目指すものです。

博士人材数と労働生産性の国際比較などに触れ、日本には博士人材をより活かす余地が大きいことを強調する大鳥理事・副学長
続いて、川端和重理事(社会連携・経営戦略担当)・副学長が「博士の活躍が地域を、社会を、日本を飛躍させる」と題して講演しました。文部科学省・経済産業省が2024年に設置した検討会の委員長としての知見から、博士人材の絶対数の少なさや企業の採用が二極化している現状を提示。その上で専門分野の一致にとどまらず、視野の広さや実践経験、人間性も含めた対話を通じたマッチングを企業に提言しました。
後半は、博士人材の活躍事例として株式会社ナルサワコンサルタントの髙野陽平氏、富士通株式会社富士通研究所の池田和泉氏、株式会社NTTデータオートモビリジェンス研究所の中野泰河氏の3名が登壇し、それぞれの経験に基づく見解を共有しました。
髙野氏は、業務で携わった農業地域の浸水シミュレーションに関する技術課題を契機に、社会人として修士・博士課程へ進学した経緯を紹介。修士では高度な技術の習得に専念したのに対し、博士ではその技術を社会で活用しやすくするための開発へと意識が広がったと振り返りました。業務においても文献や技術基準を徹底的に調べ、既存の手法で対応できない課題には自らプログラムを作成して柔軟に対応する力を、研究を通じて身につけたと語りました。
池田氏は、糖尿病などの生活習慣病をテーマとする医学領域の疫学研究で得たデータ分析力、論理的思考力、伝える力を、現在取り組んでいる認知セキュリティの研究に応用しています。専門分野は異なるものの、人を対象にデータに基づいて分析する点では共通しており、大学院で培った素地を新たな領域へ展開していると説明しました。博士学生と企業のマッチングイベントを通じて現在の勤務先と出会った経緯にも触れました。
中野氏は、数学・数値解析の博士課程で磨いた、根拠に基づき筋道を立てて説明する力が、現在の自動運転システムの安全性分析業務に活きていると述べました。大学院時代には企業との共同研究に取り組み、学位取得後にその共同研究先企業へ就職。継続的な関わりを重ねたことが企業と博士人材の相互理解を深め、人材獲得にもつながった一例として紹介されました。
企業側の声として、フジイコーポレーション株式会社代表取締役の藤井大介氏が、自社従業員を社会人博士として送り出した経験を語りました。変化の先行きが見通しにくい時代こそ、未知の課題に粘り強く向き合い、不確実性の中で考え抜く経験を持つ博士人材が重要だとの見解。博士研究は、経営者の現時点の理解や既存事業の枠に収まるテーマに限るのではなく、将来の事業の種となる未知の領域を探究してほしいとの考えも示しました。また、他の社員がこれまで自社では難しいと諦めていた開発課題も、博士号を取得した社員に相談するようになって前進した例があるとし、身近に相談相手がいることの組織全体にもたらす好影響に触れました。

株式会社ナルサワコンサルタントの髙野陽平氏

株式会社富士通研究所の池田和泉氏

株式会社NTTデータオートモビリジェンス研究所の中野泰河氏

フジイコーポレーション株式会社代表取締役の藤井大介氏
パネルディスカッションでは、FLAGs推進室長の飯島想がモデレーターを務め、登壇者間で議論を深めました。博士人材とは「完成された答えを持って入社する人材ではなく、企業がまだ答えを持たない課題にともに向き合い、周囲を巻き込みながら解決への道筋をつくる人材である」との認識を共有。博士人材との接点を持つ具体的な方法として、マッチングイベントへの参加や企業が抱える課題を研究室に持ち込むことなどが挙げられました。
最後に、本学特命理事(FLAGs担当)の末吉邦が、企業アンケートの結果を踏まえ、企業と大学の継続的な対話の重要性を強調しました。29社から得た回答では、博士人材に期待する力として「課題発見・設定力とデータに基づく分析・解決力」が最多でした。一方、博士人材を採用した経験のない企業では、「専門性と自社業務とのミスマッチへの懸念」が最も多く挙がりました。

博士人材の活躍を企業の未来につなげる、産学連携のあり方や双方に求められる姿勢を議論する登壇者
こうした企業の期待と不安を受け、本学は、博士人材の採用、博士学生のインターン受入れ、従業員の博士課程進学、共同研究など、関心や検討段階に応じた相談窓口・施策を用意しています。採用や社員派遣を決める前の段階から、企業が抱える課題や博士人材の活用可能性を大学とともに検討できることを示しました。
本学は今後も産業界との対話を重ね、社会課題の解決に貢献できる博士イノベーターを育成してまいります。
本件に関するお問い合わせ先
未来先導大学院推進本部(学務部教務課大学院支援係)
E-mail flags.adm@niigata-u.ac.jp