極低温の量子流体中に現れる普遍的な力-量子揺らぎが導く原子超流動体中の分子間力-
万有引力の法則に代表されるように、「物質間に働く力」という概念は、物理学において重要な位置を占め続けてきました。本学自然科学系(理学部)の本郷優助教(理化学研究所数理創造プログラム客員研究員)とドイツ・ハイデルベルク大学の藤井啓資研究員・Tilman Enss教授の国際共同研究グループは、極低温の量子流体中に浮かべられた粒子間に、長距離ではファンデルワールス力と呼ばれる分子間力と同じ力が働くことを理論計算から明らかにしました。レーザー技術によって絶対零度近く(数十ナノケルビン程度)まで冷却された原子集団は、量子状態を高精度に制御可能な系として近年注目されており、ミクロな世界における力を調べる上でも格好の舞台となっています。本研究は、極低温で実現する原子超流動体中の不純物粒子に、量子揺らぎに起因した普遍的な長距離力が作用することを新たに明らかにしたものです。
本研究成果のポイント
- 絶対零度に近い極低温の超流動原子気体中で現れる長距離力の存在を理論的に示した
- 長距離力は超流動体中に生じる音波の量子揺らぎにより引き起こされることを発見
- 発見された長距離力はファンデルワールス力という分子間力に似た性質を持つことが判明
研究内容の詳細
極低温の量子流体中に現れる普遍的な力-量子揺らぎが導く原子超流動体中の分子間力-(PDF:0.7MB)
論文情報
【掲載誌】Physical Review Letters
【論文タイトル】Universal van der Waals force between heavy polarons in superfluids
【著者】Keisuke Fujii, Masaru Hongo, and Tilman Enss
【doi】10.1103/PhysRevLett.129.233401
本件に関するお問い合わせ先
広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
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