AIを活用したPET/CT画像の解析で 肺がん免疫療法の副作用と治療後の経過を予測 -患者一人一人に適した治療、経過観察の方法の発見に寄与-

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研究成果

本研究成果のポイント

  • 免疫療法開始前に撮影したPET/CT画像から、肺がんではない方の肺全体(非がん肺)の炎症の強さを、AI(人工知能)を活用して定量的に評価しました。
  • 本研究結果から、非がん肺の炎症の数値が高い患者は、免疫療法による様々な副作用が起こりやすい可能性が示唆されました。
  • さらに、非がん肺の炎症の数値が高い患者では、がんの進行が早く、生存期間も短いことが示され、副作用と予後(治療後の経過)の予測に役立つ可能性があります。

本学大学院医歯保健学研究科放射線医学分野の山崎元彦准教授、石川浩志教授、同呼吸器・感染症内科学分野の渡部聡准教授、菊地利明教授らの研究グループは、肺がん患者の治療前に撮影した18F-FDG-PET/CT検査(注1)の画像をAI(人工知能)で解析し、がんではない方の肺(非がん肺)における炎症の強さを定量的に評価しました。
その結果、非がん肺の炎症を示す数値が高い患者では、免疫チェックポイント阻害薬(注2)による様々な副作用、いわゆる免疫関連有害事象(注3)が起こりやすいだけでなく、がんが悪化せずに経過する期間および生存期間が短いことが分かりました。
本研究成果は、治療前に通常行われる18F-FDG-PET/CT検査を活用して、免疫療法による免疫関連有害事象のリスクと治療後の経過を同時に予測できる可能性を示すものです。

【用語解説】

(注1)18F-FDG-PET/CT検査
 PET(Positron Emission Tomography:陽電子放出断層撮影)とCT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)を組み合わせた医用画像検査です。この検査では、18F-FDG(18F-fluorodeoxyglucose)というブドウ糖によく似た放射性薬剤を体内に投与します。18F-FDGは、がん細胞や炎症細胞など、ブドウ糖を多く消費する部位に集まる性質があります。その集積をPETで捉え、CT画像と重ね合わせることで、18F-FDGが集まった場所を詳しく評価できます。

(注2)免疫チェックポイント阻害薬
 がん細胞が免疫細胞にかけている「ブレーキ」を解除し、患者さん自身の免疫細胞ががんを攻撃できるようにする薬剤です。肺がんのほか、胃がん、腎がん、乳がん、悪性黒色腫など、さまざまながんの免疫治療に用いられています。

(注3)免疫関連有害事象
免疫チェックポイント阻害薬によって活性化した免疫が、がん細胞だけでなく正常な臓器も攻撃することで生じる副作用です。肺に生じる間質性肺疾患のほか、皮膚障害、甲状腺機能障害、大腸炎、肝障害など、全身のさまざまな臓器に起こる可能性があります。

研究内容の詳細

AIを活用したPET/CT画像の解析で 肺がん免疫療法の副作用と治療後の経過を予測 -患者一人一人に適した治療、経過観察の方法の発見に寄与-(PDF:823KB)

論文情報

【掲載誌】Academic Radiology
【論文タイトル】High FDG Uptake in the Non-cancerous Lung Predicts Immune-Related Adverse Events and Poor Prognosis in Patients with Lung Cancer Treated with Immune Checkpoint Inhibitors
【著者】Yushi Takahashi, Akiyasu C. Yoshizawa, Takato Kiuchi, Ryosuke Hayasaka, Taihei Torigoe, Masatomo Takahashi, Takaki Oka, Yuki Matsuzawa, Motohiro Ogawa, Yoshihiro Izumi, Hiroshi Tsugawa, Akiyoshi Hirayama, Fumio Matsuda, Shujiro Okuda
【doi】10.1016/j.acra.2026.07.007

本件に関するお問い合わせ先

広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

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