洋上風力と絶滅危惧種の海鳥コアジサシの「競合海域」を見える化-利用可能性の高い海域を全国規模で予測、環境アセスメントへの活用に期待-

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研究成果

本研究成果のポイント

  • 営巣適地の推定と、エネルギー収支に基づく採餌モデルを組み合わせることで、コアジサシの利用ポテンシャルが高い海域を全国規模で地図化した。
  • コアジサシ(注1)の飛翔軌跡の大部分は風車ブレードの回転範囲より低かった一方、風車近傍では水平方向への回避行動が確認された。
  • 本解析手法は、鳥の捕獲やGPS装着に依存せず、既往研究の情報や行動観察をもとに、洋上風力発電に対する海鳥のセンシティビティ(注2)を評価できるため、幅広い種への適用が期待される。

概要

洋上風力発電の導入拡大に伴い、海鳥への影響を計画の早い段階から把握することが重要になっています。一方、コアジサシのように年によって営巣場所が変わる種では、既存の分布情報から利用される可能性のある海域を十分に評価することは困難です。本学農学部の鎌田泰斗特任助教、関島恒夫教授らの研究グループは、営巣適地、採餌可能範囲、風車への行動応答を組み合わせ、コアジサシが利用する可能性のある海域と洋上風力発電との潜在的な競合を評価する新たな枠組みを構築しました。本手法は、環境アセスメント(注3)における初期スクリーニングへの活用が期待されます。

【用語解説】

(注1)コアジサシ
カモメ科の小型の海鳥。砂浜や河川敷、埋立地などの開けた場所に集団で繁殖し、主に沿岸の海域で小魚や甲殻類などを捕食します。日本では環境省レッドリストに絶滅危惧ⅠB類(EN)として掲載されています。

(注2)センシティビティ
生物の分布や生息地の利用状況、保全上の重要性、開発による影響の受けやすさなどを総合的に表す指標です。これを地図化することで、開発事業による影響が懸念される地域を把握できます。風力発電では、分布情報に加えて飛翔高度なども考慮し、風車の立地検討などに利用されます。

(注3)環境アセスメント
開発事業を実施する前に、その事業が環境に及ぼす影響を調査・予測・評価し、必要な環境保全措置を検討する仕組みです。

研究内容の詳細

洋上風力と絶滅危惧種の海鳥コアジサシの「競合海域」を見える化-利用可能性の高い海域を全国規模で予測、環境アセスメントへの活用に期待-(PDF:1.1MB)

論文情報

【掲載誌】Environmental Impact Assessment Review
【論文タイトル】A framework for screening potential conflicts between wind farm development and Little Tern — a colony-shifting central-place-foraging seabird species
【著者】Taito Kamata, Reiku Ito, Masaharu Hayakawa, Tsuneo Sekijima
【doi】10.1016/j.eiar.2026.108711

本件に関するお問い合わせ先

広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

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