ストロマトライト中のチタン鉱物は、太古の微生物が利用していた“天然の日焼け止め”の痕跡?

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研究成果

本研究成果のポイント

  • 27億年前の岩石に含まれる微小管は微生物の生痕化石注1ではなく、岩石の溶解とその内部でのチタナイト注2の結晶化で形成した。
  • チタンの濃集には、当時の微生物活動が関与していたことが分かった。
  • 太古の微生物は紫外線から身を守るために、二酸化チタン(TiO2)を“天然の日焼け止め”として利用していた可能性がある。

概要

本学理学部のM. Satish-Kumar教授、大学院自然科学研究科博士後期課程のS. Kiranさん(研究当時)、産業技術総合研究所地質調査総合センターの中村佳博主任研究員、東京大学大学院理学系研究科の大藤弘明教授らの研究グループは、西オーストラリアのピルバラクラトンに分布する約27億2千万年前に形成されたタンビアナ層に含まれる生命の痕跡とされる特徴的な構造について、オーストラリアのカーティン大学と共同研究を行いました。当時の地球にはまだ酸素やオゾン層がほとんどなく、強烈な紫外線が地表に降り注いでいました。タンビアナ層中の大昔の微生物が作った層状の構造物(ストロマトライト注3)を詳しく調べたところ、炭素(有機物)を伴う「ごく小さな管状の構造」が存在し、その内部がチタナイト(カルシウムとチタンを含むケイ酸塩鉱物)で埋め尽くされていることがわかりました。透過型電子顕微鏡やアトムプローブトモグラフィー分析の結果、この管状の構造は、有機物や黄鉄鉱の周りで局所的に岩石が溶け、そこに鉱物が移動した痕跡(アンビエント・インクルージョン・トレイル注4と呼ばれる現象)であることが明らかとなりました。チタンの濃集には、当時の微生物が関わっている可能性が高く、微生物は強い紫外線から身を守るために “天然の日焼け止め”としてチタン鉱物を利用していた可能性が示唆されました。

【用語解説】

(注1)生痕化石
生物そのものではなく、生物の生活・活動の痕跡が地層や岩石中に残って化石となったもの。

(注2)チタナイト(くさび石/スフェーン)
チタン・カルシウム・ケイ素からなる鉱物で、緑や黄褐色で輝きが強く、宝石としても人気があります。地球の岩石に普遍的に含まれ、風化や変質に強く壊れにくいため、太古代などの初期地球の環境を知る「タイムカプセル」として地質学で重宝されています。また、微細な管状構造を作る場合もあり、それらは古代微生物の生命活動に関わっていた可能性もあるとして古くから注目されてきました。

(注3)ストロマトライト
シアノバクテリアなどの微生物の活動によって形成される、細かな層状の堆積構造です。石灰岩やドロマイトなどの岩石中に保存されることが多く、地球初期の生命活動を示す代表的な痕跡の一つです。現在でも、一部の浅海域や塩湖などで見ることができます。

(注4)アンビエント・インクルージョン・トレイル(AIT)
岩石、特に先カンブリア時代の堆積岩の内部見られる特徴的な管状、トンネル状の跡のことです。有機物などの分解によって生じた流体やガスなどで後押しされて小さな鉱物粒子が移動することによってできると考えられています。

研究内容の詳細

ストロマトライト中のチタン鉱物は、太古の微生物が利用していた“天然の日焼け止め”の痕跡?(PDF:1.8MB)

論文情報

【掲載誌】Geoscience Frontiers
【論文タイトル】Localized TiO2 accumulation in Archean stromatolites: implications for titanite microtube formation and possible UV shielding
【著者】S. Kiran, M. Satish-Kumar, Y. Nakamura, H. Ohfuji, S.M. Reddy, D.W. Saxey
【doi】10.1016/j.gsf.2026.102453

本件に関するお問い合わせ先

広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

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