令和8年度秋季入学式 学長告辞

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新入生の皆さん。
本日、新潟大学への入学を迎えられた皆さんを、教職員を代表して、心より歓迎いたします。
また、今日まで皆さんを支えてこられたご家族、ご友人、指導者をはじめ、関係する皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。

今日ここには、それぞれ異なる道を歩んできた皆さんが集っています。
新たな専門を学ぶ人。
これまでの学びをさらに深める人。
そして、研究に本格的に取り組む人。
日本各地から新潟に来られた方、海外から来られた方もいます。

新しい環境には、期待とともに、不安もあるでしょう。
しかし、新しい場所に身を置くことは、新しい知や人に出会うことでもあります。異なるものとの出会いによって、それまで当然だと思っていたことが揺さぶられ、自分の考えや進む道が変わることもあります。
私は、そこに大学で学ぶ大きな意味があると考えています。

大学は、すでにある答えを受け取るだけの場所ではありません。
なぜだろう。
本当にそうなのだろうか。
このままでよいのだろうか。
自ら問いを持ち、深く考え、新しい知や考え方に出会い、自分自身の考えをつくっていく。
さらに、学びや研究を深める人には、まだ誰も答えを知らない問いに向き合い、新しい知そのものを生み出していくことが求められます。

皆さんには、新潟大学で四つのことを大切にしてほしいと思います。
問いを持つこと。
深く究めること。
知を結ぶこと。
そして、社会へつなぐこと。

第一は、問いを持つことです。
学びは、「なぜだろう」と立ち止まるところから始まります。
授業で耳にした言葉。
実験や調査で予想と違った結果。
地域で出会った人の一言。
自分とは異なる考えを持つ人との対話。
そこから、自分自身の問いを育ててください。
最初から大きな問いである必要はありません。

学び、人と出会い、自分の世界が広がる中で、問いそのものが変わっていくこともあります。
それもまた、大学で学ぶということです。

第二は、深く究めることです。
皆さんには、自分が選んだ専門に、真剣に向き合ってほしいと思います。
先人の知に学び、自分自身で確かめ、簡単には答えの出ない問題に粘り強く向き合う。
その経験は、皆さんの中に確かな軸をつくります。

生成AIをはじめ、科学技術は急速に進歩しています。大量の情報を集め、一定の答えを得ることは、これまでより容易になりました。
だからこそ、何を問うのか。
なぜそれを問うのか。
得られた答えをどう判断するのか。
そのことが、これまで以上に重要になっています。

第三は、知を結ぶことです。
専門を深めることは重要です。しかし、自分の専門の中だけに閉じこもらないでください。
現代社会が直面する問題の多くは、一つの学問、一つの価値観だけでは捉えきれません。
新潟大学は、人文科学、社会科学、自然科学、医歯学など、多様な知が集まる総合大学です。

専門を深める。
そして、専門を越えて知を結ぶ。
この二つを行き来するところに、総合大学で学ぶ大きな可能性があります。

また、学問は国境を越える営みでもあります。
異なる国や地域、文化的背景を持つ人と語り合うことで、自分が無意識に前提としていたものに気づくことがあります。
ぜひ、この新潟大学で、多くの人と出会い、対話してください。

第四は、社会へつなぐことです。
大学で得られる知は、教室や研究室の中だけで完結するものではありません。
学ぶことによって、これまで見えなかったものが見える。社会がまだ気づいていない問題に気づく。そして、生み出した知によって、人や社会に新しい可能性を開いていく。
そこに、大学で学ぶ大きな意味があります。

皆さんがこれから暮らす新潟にも、人口減少、高齢化、医療、食と農、環境、防災など、日本や世界が向き合う多くの課題があります。
しかし、地域は、課題がある場所であるだけではありません。
新しい知を生み出し、新しい社会のあり方を考え、それを世界へ示していくことのできる場所でもあります。

新潟から世界を見る。
世界を知ることで、もう一度新潟を見る。
地域で生まれた知を世界へ。
世界の知を地域へ。
その往復の中から、新しい問いと、新しい価値が生まれることを願っています。

新潟大学の理念は、「自律と創生」です。
自律とは、自分一人ですべてを行うことではありません。
先人の知に学び、人と議論し、異なる意見にも耳を傾ける。必要であれば、自分の考えも問い直す。
それでも最後には、自分自身で考え、自分の判断に責任を持つ。
私は、それが自律だと考えています。

そして、その先に「創生」があります。
新しい知を生み出すこと。
異なる知を結ぶこと。
当たり前を問い直すこと。
そして、それを人や社会の未来へつなげていくことです。

皆さんは今日から、知を受け取るだけの人ではありません。
知を問い、知を究め、知を結び、新しい知を生み出す人へと歩み始めます。

大学生活では、思うようにいかないこともあるでしょう。勉強や研究が進まないことも、自分の選んだ道に迷うこともあるかもしれません。
そんなときには、立ち止まり、考えてください。人と対話してください。そして必要であれば、自分の問いを問い直してください。

大学で学ぶとは、最初に決めた道を、ただまっすぐ進むことではありません。
学び、人と出会い、考え直しながら、自分自身の道をつくっていくことでもあります。

皆さんには、新潟大学で、それぞれの専門を深めるとともに、多くの人や知に出会い、これまでとは違う世界の見方を身につけてほしいと思います。
そして、ここで得た知と経験を、自分自身のためだけでなく、人と社会の未来をよりよいものにするために生かしてください。

今日から皆さんは、新潟大学の新しい仲間です。
皆さん一人ひとりの大学生活が、学びと発見、挑戦と出会いに満ちたものとなることを、心から願っています。
入学、誠におめでとうございます。

令和8年10月1日
新潟大学長 染矢俊幸

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学長メッセージ