
地域食材に着目した研究
-健康機能性の解明とおいしさの数値化を目指して-
おいしさから健康へ新潟の食の可能性を探る
食品科学や食品機能学的な解析を行い、調理によるおいしさや栄養成分の変化を分析、科学的エビデンスに基づき、食生活や健康へアプローチする山口智子教授。地域食材に着目し、地域や企業との共同研究や商品開発に幅広く携わるなど、新潟大学が進めるおいしさDXの取組の中核を担う存在だ。
「調理科学や食生活学は、私たちの日々の暮らしに直結する分野。農学系の基礎研究に“食する”という実生活の視点を加えることを意識しています。食品には栄養、おいしさ(嗜好性)、健康や疾病予防(体調調節)の3つの機能があります。地域に根ざしながらこれらを掛け合わせて新潟の食の魅力と可能性を広げていきたいです」
2008年の新潟大学着任以降は、コメや米粉、女池菜、ナス、枝豆、南蛮エビ(甘エビ)など、地域食材に着目し幅広く研究を進めてきた。ピペットを用いた科学的な成分分析に加え、人間の舌を模した人工脂質膜を用いた味覚センサーでおいしさを数値・可視化。社会実装も重視し、データに基づいた最適な調理法や新しい食べ方、商品開発へとつなげていく。
新潟市西区・西蒲区で栽培されるブランドサツマイモ「いもジェンヌ」の焼きいもペーストを使用した日本酒リキュール『うたたね いもジェンヌ』は、新潟大学大学院いもジェンヌプロジェクトと新潟市西区の高野酒造との共同開発の成果だ。地域農業や観光振興への波及効果も期待されている。
「地域食材や企業とのコラボレーション商品自体は珍しくありませんが、研究をベースにそれらのおいしさを数値化できる点が私たちの研究の強み。おいしさを求めつつ、その上で健康に繋げ、食品の価値を高めていくことが重要です。QOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に直接的に貢献できる研究だと考えています」
近年の研究成果や教育活動から生まれた商品。
いもジェンヌ日本酒リキュール「うたたねいもジェンヌ(左)と
新潟県産高アミロース米「低糖質ごはん米」(右)。
炊飯方法の調整によってコシヒカリと同等の食感で低糖質のご飯が炊きあがる
プロフィール

山口智子
博士(学術)。専門は調理科学と食生活学。2026年1月に設置された全学共同教育研究組織、フード&ヘルスイノベーション共創センターの副センター長と地域協働研究部門長を兼任。
素顔
自然と食を巡る旅が好きな山口教授。野山の恵みや旅先の名物、珍しい食材・スイーツを見つけると嬉しくなり、食べるのも仕事だ!と思ってついつい手に取ってしまう。道の駅や海外の市場も楽しいという。

※記事の内容、プロフィール等は2026年5月当時のものです。
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掲載誌

この記事は、新潟大学季刊広報誌「六花」第56号にも掲載されています。


