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ユリの無花粉(雄性不稔)候補遺伝子の同定 -無花粉選抜技術の開発 -

2022年07月20日 水曜日 研究成果

ユリ類の育種においては、無花粉(花被、他の花材や衣服を汚してしまわないため)であることが品種特性として重要であり、流通や生産関係者から無花粉の新品種育成が切望されています。最近、いくつかの花粉を生じないユリが商業市場に流通していますが、無花粉の特性にどのような遺伝子が関与しているか明らかになっておらず、計画的に無花粉のユリの育種を行うことはできないのが現状です。そこで、本学農学部(岡崎桂一教授ら)、秋田県農業試験場、鹿児島県農業開発総合センターの研究グループは、シンテッポウユリ(注1)「あきた清ひめ」が持つ自然突然変異で生じた無花粉特性の責任遺伝子(TDF1)を同定し、無花粉遺伝子をシンテッポウユリの品種間やシンテッポウユリから他のユリに導入する際、無花粉遺伝子の有無をPCRで簡易に判定できる育種支援技術を開発しました。ユリでは、無花粉(雄性不稔)の遺伝子を同定した報告は本研究が初めてです。本成果は、テッポウユリをはじめ各種ユリ類の無花粉品種育成に大きく貢献できると期待されています。

本研究成果のポイント

  • ユリの無花粉特性を制御する責任遺伝子候補を同定しました。
  • 無花粉遺伝子の有無をPCRで簡易に判定できる育種支援技術を開発しました。
  • 本成果は、テッポウユリをはじめ各種ユリ類の無花粉品種育成に大きく貢献できると期待されています。

研究内容の詳細

ユリの無花粉(雄性不稔)候補遺伝子の同定- 無花粉選抜技術の開発 -(PDF:1.0MB)

【用語解説】

(注1)シンテッポウユリ(L.×formolongi)は、タカサゴユリ(L. formosanum)とテッポウユリ(L. longiflorum)と種間交雑と、それに続くテッポウユリへの連続戻し交配によって開発されました。 その結果、シンテッポウユリはテッポウユリのような広葉と種まき後1年以内に咲くタカサゴユリの特徴を組み合わせた園芸種として育成されました。シンテッポウユリとテッポウユリの栽培品種は、それぞれ種子または球根によって繁殖され、切り花生産では7月から10月にシンテッポウユリ、11月から6月にテッポウユリが市場へ出荷されます。

論文情報

【掲載誌】Frontiers in Plant Science
【論文タイトル】Identification of a male sterile candidate gene in Lilium x formolongi and transfer of the gene to Easter Lily (L. longiflorum) via hybridization
【著者】Takahiro Moriyama, Daniel John Shea1, Naoto Yokoi, Seiro Imakiire, Takaaki Saito, Hikaru Ohshima, Hina Saito, Satoru Okamoto, Eigo Fukai and Keiichi Okazaki
【doi】10.3389/fpls.2022.914671

本件に関するお問い合わせ先

広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

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