このページの本文へ移動

全表面観察のための広視野レーザ顕微鏡

2018年11月26日 月曜日 研究

新田 勇 教授

自然科学系(工学部)

Profile

博士(工学)。広領域レーザ走査方法の特許を持ち、
機械全般に関し共同研究を進める

自然科学系(工学部)新田 勇 教授

広い領域の高精度測定が可能精密部品検査の効率化に期待

従来ナノレベルで広領域を短時間観察することは不可能と言われていた。そのため広い範囲を見るためには狭い範囲の撮影画像をつなぎ合わせた上で全体を把握しなければならず、時間も手間もかかった。
工学部の新田教授が開発した広視野レーザ顕微鏡は、一度に広い領域の高精度測定が可能になる点で画期的だ。

広視野レーザ顕微鏡のプロトタイプを操作する学生。今後、企業への導入と技術応用が期待される
広視野レーザ顕微鏡のプロトタイプを操作する学生。今後、企業への導入と技術応用が期待される

「特徴としては他の方法に比べてコントラストの高いデジタル画像の取得が可能です。また、円筒形状の表面全体を短時間で計測することができ、高精度で歪みのない平面展開図の作成をすることもできます」
この技術は加工工具や高精度金型、レンズ製造メーカーの加工工場などへ導入されることが想定される。具体的にどのような効率化が期待されるのだろうか。
「広い領域の中から小さな欠陥を検出することに向いているので、精密部品やガラスのような透明体の傷の検査に使うと効果的だと思います。また、エンドミルのように複雑な工具の検査にも有効でしょう。大きな凹凸のある円筒面の観察も短時間で画像取得が可能です。これまでは二つ以上の検査を行い、その結果を組み合わせて判断する必要がありましたが、広視野レーザ顕微鏡はワンショット測定が可能です。より安いコストで正確な検査が実現すると思われます」
さらにレーザ干渉技術をプラスすることで深さ方向への測定精度を向上させた。
「これにより広範囲で小さな傷の位置を特定できるだけでなく、その傷の深さや突起の形状も、一度の測定で立体的にとらえられるようになりました。本技術は、転がり軸やスピンドルのような高精度円筒
状部品の形状・傷の検査などへ適用することで検査効率が向上するという大きなメリットをもたらすと考えられます。広い円筒面を高精度に測定しなければならないという課題を抱えている企業、例えばベアリングメーカーや工具メーカー、金型製造メーカー、レンズ製造メーカーには、本技術の導入が有効と思われます」

500円硬貨の表面。赤格子が同倍率の光学顕微鏡の1視野。新田教授が開発した顕微鏡は約400倍広い視野の観察が可能
500円硬貨の表面。赤格子が同倍率の光学顕微鏡の1視野。新田教授が開発した顕微鏡は約400倍広い視野の観察が可能
これまでの顕微鏡は観察視野に応じて画像の解像度が制限されるという課題があった
これまでの顕微鏡は観察視野に応じて画像の解像度が制限されるという課題があった

新田教授は2001年に新潟大学としては初となるベンチャー企業、株式会社オプセルの設立に関わった産学連携の学内先駆者だ。今回も企業への導入と実用化、それによる更なる技術の進展が期待される。

六花 第19号(2016.WINTER)掲載

注目される研究報告(広報誌「六花」より)一覧へ