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ロシアから考えるグローバル・ヒストリー

2018年11月26日 月曜日 研究

 

超域学術研究院(経済分野)左近 幸村 准教授

左近 幸村 准教授

超域学術研究院(経済分野)

Profile

博士(学術)。
膨大な一次史料と向き合い。グローバルな視点でロシア史を研究。

船を通して見るロシア帝国の統合と拡張、近隣諸国との関係

左近幸村准教授の研究分野はロシア史、経済史。中でも、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのロシアの海運発展を主に研究している。取り組むテーマは「船を通して見るロシア帝国の統合と拡張、近隣諸国との関係」。そのきっかけは意外にも紅茶であった。
「紅茶文化といえば英国が有名ですが、ロシアも19世紀末から中国をはじめ、現在のセイロンやコロンボあたりからお茶を大量に輸入していました。ロシアは英国の独占状態だった茶葉の輸入を自国で行うことを目指し、世界帝国を築いていた英国に対抗すべく船舶や海運を増強したのです」
その船の活用方法に関するロシア政府内での議論も准教授の調査の対象だ。
「様々なロシア語の史料を読んだ結果、船はロシア帝国の統合や拡張の重要な道具だったと考えられます。ロシアの船は日本を含む多くの国々に寄港していて、その研究を進めることでこれまで知られていなかったロシアと諸外国の関係を明らかにすることができると考えています」

ロシアの文書館で写した史料の一例。電子化されたものやマイクロフィルム形式のものなど様々な一次史料がある
ロシアの文書館で写した史料の一例。電子化されたものやマイクロフィルム形式のものなど様々な一次史料がある
外国史研究で不可欠な現地訪問で史料の収集にあたる。写真はウクライナ オデッサにて、リシュリュー公爵像とともに
外国史研究で不可欠な現地訪問で史料の収集にあたる。写真はウクライナ オデッサにて、リシュリュー公爵像とともに

ロシア史へのアプローチとしてこのような研究は、世界的に見ても非常に少ない。
現地の図書館や文書館を訪問すると、過去に開かれた形跡が見えない「歴史の一次史料」に直接触れることも多いという。つまり、左近准教授はこの分野の研究では先駆者的存在であり、独自の視点を持っているということだ。
このような点が評価され、准教授の研究は、優秀な若手研究者が自立して活躍できる環境整備と人材育成を目的とする「テニュアトラック普及・定着事業」にも認定された。
「ロシアの歴史や制度をグローバル化の中で見ていくと、社会主義が始まる以前から独自の経済のルールがあったことが分かります。それらは船舶や海運に力を入れていく過程で次第に変容していったのではないかと考えています。その仕組みを明らかにし、ロシア史の大きな流れを解明することを目指しています」

六花 第21号(2017.SUMMER)掲載

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