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地球の核に隠れている炭素

2018年11月26日 月曜日 研究

 

サティッシュ・クマール 教授

自然科学系(理学部)

Profile

博士(理学)。
専門は岩石学、同位体地質学。
地球深部炭素循環の解明を目指し、研究を進める。

自然科学系(理学部)サティッシュ・クマール 教授

地球内部の長期的な炭素循環モデルを解き明かす

日本の学術水準の向上・強化につながる「新学術領域」として、文部科学省から採択された研究プロジェクト「核-マントルの相互作用と共進化~総合的地球深部科学の創成~」。この壮大なテーマに向かって国内外の研究者グループが、多角的なアプローチを行っている。本学からは理学部のサティッシュ教授がプロジェクトに参加。インド出身の教授は1994年に日本に渡り、2012年に本学に着任。インドや南極での調査、大陸地殻部における岩石と流体の相互作用や炭素同位体の研究をいかして、地球深部の核とマントルの間で起こっている長期的な炭素循環モデルについて調べている。
「地球深部は宇宙同様に人類にとって未知の領域。しかし、現在の技術ではマントルまで穴を掘り、試料を直接入手することはできません。そのため火成活動などによって地表まで運ばれた岩石を調べたり、高圧実験で地球内部を想定した環境を作ることで、地球内部を理解しようとしています。私は炭素の安定同位体に注目して研究を行っています」
宝石として知られるダイヤモンドもマントルに由来する貴重な試料。そこに包有されている炭素同位体の割合を調べることで、物質の移動や起源・由来を追跡することができる。最新の研究では深さ1,000キロメートルに由来するものも見つかっている。
「私たちはマントルだけでなく、核にも炭素が含まれる可能性があるのではないかと考えています。炭素の動きを調べることによって地球の超深部で起こっていることを解き明かすのです」
サティッシュ教授の研究が明らかになった場合、私たちはどのような知識を得ることができるのか。
過去2回の南極大陸調査を実施。外国人として初めて日本の南極観測隊に加わった
過去2回の南極大陸調査を実施。外国人として初めて日本の南極観測隊に加わった

「仮に地球規模の火山活動が起こった場合、炭素が地球の核にあれば大気中の二酸化炭素の量が急激に増えるはずです。その結果、地球の環境にはどういう影響があるのか。恐竜の絶滅は隕石衝突だけでなく、様々な環境の急激な変化があったと考えられていますが、その要因に迫れるかもしれません」
地球スケールの探求を進める教授の研究はロマンも感じさせてくれる。

予想される地球内部の長期的な炭素循環モデル。矢印は地球内部における炭素の移動を示している
予想される地球内部の長期的な炭素循環モデル。矢印は地球内部における炭素の移動を示している
太古の昔に存在したと考えられる超大陸、ゴンドワナ大陸地殻形成も研究テーマのひとつ
太古の昔に存在したと考えられる超大陸、ゴンドワナ大陸地殻形成も研究テーマのひとつ

 

六花 第22号(2017.AUTUMN)掲載

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