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不整脈の機序と治療に関する研究

2019年07月19日 金曜日 研究

 

医歯学系(医学部保健学科)池主雅臣 教授

池主 雅臣 教授

医歯学系(医学部保健学科)

Profile

博士(医学)
専門は循環器系。不整脈を中心に研究。

不整脈の効果的な治療のための指標づくりカテーテル手術の精度向上に貢献する

不整脈と一言で言っても、その症状と重症度は実に様々だ。脳梗塞や突然死を引き起こす危険な場合から、日常生活に支障のないものまで幅広い。複数の発症機序があり、治療のアプローチ方法も異なる。池主雅臣教授は様々なケースがある中で、効果的な治療を行うための指標をつくる研究を進める。

「不整脈は異常な電気興奮が生じて、心臓の力強い収縮を乱す原因となります。いくつかの治療方法がありますが、病気の原因となる場所を見つけ、カテーテルを介して高周波電磁波を流すことで患部心筋を焼灼する方法(高周波カテーテル焼灼術)もその一つです」
身体でも重要な役割を持つ心臓の筋肉ゆえ、大きな焼灼傷を作れば合併症につながる危険がある。患部を正確に見つけ、過不足なく治療することが求められるのだ。

「高周波カテーテル焼灼術は1987年から行われている方法で、現在では多くの不整脈を治療する事ができる様になりました。しかし治療効果が十分でない不整脈もあります。カテーテルが直接触れやすい場所から生じる不整脈は治療しやすく高い効果が期待できます。しかし、人間の心臓は立体的で筋肉の厚みも均一ではありません。カテーテルが触れる事のできない心筋深部から発症する不整脈の治療には難渋します。また、心筋梗塞などを患っている場合は、心臓の筋肉自体が変化していることもあります。実際の治療では、焼灼効果がおよんだ心筋範囲を目視することはできませんが、実験では高周波通電によって形成される焼灼傷の大きさを肉眼と顕微鏡で確認しながら適切な治療条件を設定できます。どのくらいの通電条件(出力・通電時間・接触圧等)で、どの程度の治療焼灼ができるのかを知る事は、臨床現場での治療精度をあげる助けとなります」

実験には食用豚の心臓を使う。取材当日は豪雪地帯の新潟で多発する雪中事故を想定した実験が行われていた。電流を流し拍動している心臓を低温条件にして、低体温時に重症な不整脈が発症する理由、その際にはどのような治療が適切なのか、などを調べていた。
「突然死を起こす重症な心室不整脈でAEDを使うようなケースは、まだまだ手術の成功率は高くありません。私たちの研究は、より確実で患者さんの身体に負担の少ない治療法の進歩に貢献すると考えています」

研究室の実験風景
研究室の実験風景
低温状態にした食用豚の心臓に電流を流し、数値を測る
低温状態にした食用豚の心臓に電流を流し、数値を測る

 

六花 第28号(2019.SPRING)掲載

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