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医師の専門職教育/生涯キャリアから伝統文化の継承まで、 当事者の視点から探究するー学び・成長・形成・支援、ジェンダー

季刊広報誌「六花」

渡邊 洋子 教授

人文社会科学系(創生学部)

Profile

博士(教育学)。生涯教育学(社会教育・成人教育・生涯学習を柱とする教育学)、近年は専門職教育

人文社会科学系(創生学部)渡邊 洋子 教授

医療者がキャリアと生活を培っていくプロセスと教育的課題に多面的に取り組む

渡邊洋子教授は、職業や社会文化活動の担い手、すなわち当事者が、「一人前」になるまで、「一人前」の存在として、公私を生きていくプロセスに、学習/教育の観点からアプローチする。

一連の著書。『生涯学習時代の成人教育学』では、欧米の成人教育と対照的な東アジアの生涯学習への注目につなげた
一連の著書。『生涯学習時代の成人教育学』では、欧米の成人教育と対照的な東アジアの生涯学習への注目につなげた
奈良県立医大での1年生対象授業「自己主導型学習」の成果を日本医学教育学会で発表
奈良県立医大での1年生対象授業「自己主導型学習」の成果を日本医学教育学会で発表
「具体的には、その当事者が、多様な場面・多様な方法で学び、必要な知識・技能・態度等を身につけ、価値観やアイデンティティを確立しながら自己形成し、他者や出来事・事物と関わる中で、大小の変容を繰り返しながら、生涯を通じて成長・活動・生活していくプロセスを、学習と教育の見地から探究しています」
現在の研究に至るようになった契機は、修士課程の時に来日したイギリス・ノッティンガム大学の教授の講演。その内容に感銘を受け、渡英。成人教育者が「成人を教える」ために行う研修についての3か月間の実地調査を行った。その成果を日本の社会教育・生涯学習に活かすべく、京都大学赴任後に担当した科目のテキストとして『生涯学習時代の成人教育学―学習者支援へのアドヴォカシー』(2002)を刊行。また、2006年に奈良県立医科大学の医学部教授から送られた「外科医から医学教育の仕事に入り、抱えていたもやもやの90%が、同書を読んで解決した」というメールにも大きな影響を受けた。
「同教授の依頼で、翌年、日本医学教育学会研究大会の『教育講演』を担当することになりました。それ以降、同学会の医学教育専門家認定制度の立ち上げに、ゼロ段階から参加させていただくことに。医学教育との関わりは以来、ずっと続いており、私の学術研究/実践研究の一大領域となっています」
医療者、特に医師が専門職として「一人前」になり、生涯を見通しながら専門職性とキャリアと職業人としての生活を培っていくプロセス、および各場面に見出される教育学的課題に、多面的に取り組んでいる。

「学校教育段階から医学部入試、医学部での卒前教育、医師免許を取ってからの卒後教育、医師としての自己研鑽の生涯的視野において、医療現場や医療者養成の実践的課題・改善可能性の探究に向けた研究を行っています。医学部入試と医学教育、転換・導入教育としての自己主導型学習、キャリアヒストリー法を用いた男女医療者の生涯キャリアデザイン教育実践、女性専門職教育としての女性医師の史的・実践的研究などが具体的テーマです」

日中韓の伝統文化継承と生涯学習に関する国際シンポジウムを開催(北京師範大学珠海分校にて)
日中韓の伝統文化継承と生涯学習に関する国際シンポジウムを開催(北京師範大学珠海分校にて)

 

六花 第32号(2020.SPRING)掲載

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