母体副腎腫瘍による胎児の男性化のメカニズムを解明しました -ヒト胎児の体内で作用する新たな男性ホルモンの同定-
本学医歯学総合病院小児科の長崎啓祐講師(病院准教授)、国立成育医療研究センター分子内分泌研究部の深見真紀部長らのグループは、原因不明の男性化を示した女性新生児について、どのような物質が男性化に関係しているのかを調べる研究を行いました。この研究では、男性化した女性新生児の母親に対するホルモン検査や画像検査、新生児に対する遺伝子検査やホルモン検査を行いました。その結果、母親に副腎腫瘍がみつかり、血中から高い値の「11-oxygenated C19ステロイド(11oxC19s)」という男性ホルモンが検出されました。一方、新生児には疾患原因となる異常が見られなかったため、この児の男性化の原因は「11oxC19s」であると考えられます。
今回の症例では、母体の副腎腫瘍で「11oxC19s」が大量に産生され、胎児の男性化を起こしていました。よく知られている「テストステロン」や「アンドロステンジオン」といった男性ホルモン以外に、ヒト胎児の体内で重要な作用を発揮する新たな男性ホルモンが存在することが示され、大きな成果と言えます。
詳しくはこちら(PDF:370KB)
本件に関するお問い合わせ先
広報室
電話 025-262-7000
他のニュースも読む
-
研究成果 2025年09月10日
体内栄養状態を感知するmTORC1経路の活性制御機構を解明-リソソーム膜上におけるTSC2の選択的脱リン酸化がmTORC1の活性を厳密に制御する-
-
研究成果 2025年09月05日
「小さな魚から自閉症研究に新展開-自閉症モデルの社会性障害に「環境」が影響-」
-
研究成果 2025年08月27日
河川の乱流制御を可能とする新発見-水害の大幅な削減につながる河道や都市排水施設の設計が可能に-
-
研究成果 2025年08月27日
生きたまま頭蓋骨を透明にする「シースルー法」を開発-頭蓋骨を残したまま、簡便・非侵襲・高精度に脳内をライブイメージングできるようになった!-