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細胞を傷つけずに評価する技術を開発-再生医療に用いる細胞の品質管理-

2021年05月18日 火曜日 研究成果

本学大学院医歯学総合研究科生体組織再生工学分野の泉健次教授、医歯学総合病院歯周病科の干川絵美医員、研究推進機構超域学術院の佐藤大祐助教らの研究グループは、オプティカルフロー(※1)という画像解析技術を利用することで、再生医療に培養される口腔粘膜上皮細胞(※2)の運動能(平均移動速度)が細胞の増殖能と相関することに加え、口腔粘膜上皮への分化能を予測する指標となることを突き止め、非侵襲的に細胞を評価する技術を開発しました。
本研究成果は、2021年5月17日(英国時間)に国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。

本研究成果のポイント

  • 物体の追跡や動きの推定などに汎用されているオプティカルフロー(OF)という画像解析技術を駆使することで、培養されている口の粘膜上皮(歯肉)細胞の運動能(移動速度)が顕微鏡観察下で容易に算出できることがわかりました。
  • 移動速度は細胞の増殖能と相関関係にあることや、さらに移動速度は上皮再生能も予測可能であることも解明されたので、OFを用いた解析技術は細胞の優劣(“質”)を非侵襲的に判別するツールとして使えることがわかりました。
  • この技術を他の種類の培養細胞にも応用することで、非侵襲的かつ定量的に細胞品質評価を行えるツールとして再生医療の発展に寄与することが期待されます。

【用語解説】
(※1)オプティカルフロー:2枚の連続する画像間で、1枚目の画像を構成する多数の(あるいはすべての)点が2枚目の画像においてどこに移動したかを推定する技術です。オプティカルフローは物体の動きを2次元のベクトル場で示し、矢印から移動速度がわかります(矢印の向きが移動の方向、矢印の長さが移動の速さに対応)。コンピュータービジョンでは昔から研究されており、物体追跡や動きの推定など多くの分野で応用されている汎用性の高い方法です。

(※2)口腔粘膜上皮細胞(口腔粘膜上皮細胞を用いた再生医療):口腔粘膜上皮細胞は、細胞シート作成技術を駆使して、眼の角膜疾患による視力回復や食道がん切除後の創傷治療・粘膜組織再建にも利用されています。

研究内容の詳細

細胞を傷つけずに評価する技術を開発-再生医療に用いる細胞の品質管理-(PDF:1.0MB)

論文情報

【掲載誌】Scientific Reports
【論文タイトル】Cells/colony motion of oral keratinocytes determined by non-invasive and quantitative measurement using optical flow predicts epithelial regenerative capacity
【著者】Emi Hoshikawa, Taisuke Sato, Kenta Haga, Ayako Suzuki, Ryota Kobayashi, Koichi Tabeta, Kenji Izumi
【doi】10.1038/s41598-021-89073-y

本件に関するお問い合わせ先

広報室
電話 025-262-7000

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