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グルコースが連なったオリゴ糖に作用する新規な糖転移酵素の発見~新規なオリゴ糖配糖体の合成法の開発に貢献~

2022年03月07日 月曜日 研究成果

研究の要旨とポイント

  • 糖鎖には人にとって有用な機能をもつものが多数ありますが、実用的な量を合成できるものは少なく、多くの場合、研究や利用が難しいという問題があります。
  • 今回、グルコースが連なったオリゴ糖に作用する新規な糖転移酵素を発見しました。さらに、この酵素と基質が結合した三次元構造の解析から、基質が結合する部分の構造が柔軟に動くことで様々な配糖体(※1)との結合が可能となるというメカニズムも明らかにしました。
  • この酵素によって新規なオリゴ糖配糖体の合成が可能となりました。今回の発見は、糖鎖の利用、開発の可能性を拡げる重要な知見です。

 

β-1,2-グルコオリゴ糖、β-1,2-グルカンは麦芽糖、トレハロース、セルロースなどと同様にグルコースから構成される糖鎖ですが、グルコース同士が結合する位置が異なるユニークな構造の天然の糖鎖です。しかし、その希少さのため、この糖鎖の機能性や合成と分解に関わる酵素の研究例は少ないのが現状です。本学農学部の中井博之准教授、東京理科大学理工学部応用生物科学科の中島将博准教授らのグループはβ-1,2-グルカン、グルコオリゴ糖の合成、分解を行う酵素に注目して研究を行い、今回、β-1,2-グルコオリゴ糖に作用する酵素の新規な糖転移反応を発見し、さらにこの酵素の三次元構造も明らかにしました。この酵素はグルコシド配糖体に対してグルコースを転移する活性を有しており、糖鎖構造の異なる配糖体を調製する上で有用なツールとなることが期待されます。
本研究成果は、2022年1月19日に国際学術誌「Journal of Biological Chemistry」にオンライン掲載されました。

【用語解説】

(※1)配糖体:糖と糖以外の化合物が結合した化合物のこと。糖の部分がグルコースの場合グルコシド配糖体という。

研究内容の詳細

グルコースが連なったオリゴ糖に作用する新規な糖転移酵素の発見~新規なオリゴ糖配糖体の合成法の開発に貢献~(PDF:583KB)

論文情報

【掲載誌】Journal of Biological Chemistry
【論文タイトル】Characterization and structural analyses of a novel glycosyltransferase acting on the β-1,2-glucosidic linkages
【著者】Kaito Kobayashi, Hisaka Shimizu, Nobukiyo Tanaka, Kouji Kuramochi, Hiroyuki Nakai, Masahiro Nakajima, Hayao Taguchi
【doi】10.1016/j.jbc.2022.101606

本件に関するお問い合わせ先

広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

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