現実と記憶の色の違い-現実と空想の境目を示す脳活動を発見-
私たちの豊かな意識的体験は、外界からの刺激を感覚として受け取る「外からの知覚」と、心象や記憶の想起や夢として生成される「内部イメージ」の両方から作り出されています。この2種類の体験は異なるものと考えられていますが、その違いがどのような脳メカニズムに基づいているかは明らかではありませんでした。中国・浙江大学系統神経認知科学研究所の谷川久 副教授、新潟大学大学院医歯学総合研究科神経生理学分野の長谷川功 教授、川嵜圭祐 准教授らの研究グループは、色に対する意識体験に注目して、マカクザル(霊長目オナガザル科マカク属に属する哺乳類でニホンザルもこの一種)の大脳皮質、前頭前野領域(prefrontal cortex、PFC)で、知覚と記憶の想起によって引き起こされる脳活動に違いがあるか検証しました。その結果、PFCでは、異なる周波数で振動的に活動する神経集団の局所的な空間配置によって知覚と内部イメージの違いが表現されていることを発見しました。この結果は、色認識の神経メカニズムの解明に重要な知見であるだけではなく、統合的な意識的体験の神経メカニズムや病的な意識の乖離状態を理解する上でも重要な発見です。本研究の成果は、2022年4月12日(米国東部時間)にcell press社の発行する科学雑誌cell reportsに掲載されました。
本研究成果のポイント
- 色を実際に見る時もその色を思い出す時も前頭前皮質の神経活動からその色を解読できる
- 実際の色と思い出した色では、前頭前皮質の活動する場所だけではなく、神経細胞集団の振動的な振る舞いが異なる
研究内容の詳細
現実と記憶の色の違い-現実と空想の境目を示す脳活動を発見-(PDF:0.8MB)
論文情報
【掲載誌】Cell Reports
【論文タイトル】Decoding distributed oscillatory signals driven by memory and perception in the prefrontal cortex
【著者】Hisashi Tanigawa, Kei Majima, Ren Takei, Keisuke Kawasaki, Hirohito Sawahata, Kiyoshi Nakahara, Atsuhiko Iijima, Takafumi Suzuki, Yukiyasu Kamitani, Isao Hasegawa#(# 責任著者)
【doi】10.1016/j.celrep.2022.110676
本件に関するお問い合わせ先
広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
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