理学部の長谷川英悦教授が光化学協会功績賞を受賞しました
本学理学部の長谷川英悦教授(自然科学研究科数理物質科学専攻化学コース)が、2022年光化学討論会(2022年9月13–15日、京都大学)の会期中に開催された光化学協会総会において「光化学と電子移動化学に基づく有機レドックス反応機構解明と合成手法開発」の業績により第22回光化学協会功績賞を授与されました。
光化学協会功績賞は、同協会正会員もしくは永年会員であって、我が国の光化学および光化学協会に多大な功績のあった者に授与される賞です。
酸化還元(レドックス)反応は酸塩基反応と並び最も基本的な化学反応であり、電子移動はレドックス反応の鍵過程です。これまでに、電子移動が関連する複数の研究に対してノーベル化学賞が与えられています。光により引き起こされる電子移動は「光誘起電子移動」と呼ばれ、自然界(植物の光合成など)および人工系(光触媒、太陽電池,感光・発光材料,蛍光センサーなど) のレドックス反応を駆動しています。長谷川教授は有機化学分野において、「光誘起電子移動」と基底状態のレドックス試薬の併用(光とレドックス試薬の二刀流)という独創的なアプローチで電子移動化学研究を推進してきました。そして、酸化還元補酵素NADH/NAD+の人工類縁体である含窒素複素環化合物の光反応研究を開拓し、その研究は幅広い分野(二酸化炭素還元、水素発生、太陽電池、有機半導体、亜硫酸ガス変換、有機合成など)へ波及しました。さらに、その含窒素複素環化合物に基づく新規光還元試薬開発とその触媒化にも成功しました。
長谷川教授は、光化学協会理事(2021–22年)と2021年光化学討論会の実行委員長を務めています。これまで、光化学と電子移動化学を融合させた研究に従事し、日本化学会、有機合成化学協会、電気化学会・有機電子移動化学研究会等の化学分野の諸学会において、有機合成化学における光化学の重要性と有用性を示す研究・学会活動を行ってきました。このように、光化学協会を中心に光化学に関連する学会の発展に貢献しました。
本学には、「光誘起電子移動」が関わる研究を推進する複数の教員が在籍しています。したがって、「光誘起電子移動」化学研究は新潟大学の特色であり、かつ強みである分野です。
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