ポアソン方程式の有限要素解に対する定量的な誤差評価手法の開発-高精度で信頼性のある数値解析に向けて-
半導体分野での製造技術が進歩するとともに、高精度で信頼性のある抵抗率測定法へのニーズが高まっています。このニーズに応えるために、抵抗率測定法を記述している微分方程式(注1)で表される数理モデルへの高精度で信頼性のある数値計算手法が求められています。
本学理学部の劉雪峰准教授と大学院自然科学研究科博士後期課程の中野泰河(大学院生)は、微分方程式の数値計算手法のひとつである有限要素法(注2)に対して世界初となる定量的な局所誤差評価を提案して、高精度で信頼性のある数値計算手法を開発しました。
本研究成果のポイント
- 半導体分野の抵抗率測定分野における高精度で信頼性のある測定結果へのニーズに応えるため、局所誤差評価の数理モデルを提案しました。
- 抵抗率測定法を記述する数理モデルであるポアソン方程式の境界値問題(注3)への有限要素法による近似解への定量的な局所誤差評価法を開発しました。
- 局所誤差評価の研究に対して、従来の定性的な誤差評価の理論より、具体的な誤差評価を提供できる新たな誤差評価理論を発展させました。
【用語解説】
(注1)微分方程式:変数とその関数との関係を、導関数を含む形で表した方程式。
(注2)有限要素法:方程式が定義された領域を小領域(要素)に分割し、各小領域における方程式を比較的シンプルな関数で近似する手法である。 構造力学分野で発達し、偏微分方程式の数値計算の手法として広く使われている。
(注3)境界値問題:微分⽅程式の解を、それが定義される領域の境界上の値に制限(境界条件)を付けて求める問題のこと。
研究内容の詳細
ポアソン方程式の有限要素解に対する定量的な誤差評価手法の開発-高精度で信頼性のある数値解析に向けて-(PDF:0.7MB)
論文情報
【掲載誌】Journal of Computational and Applied Mathematics
【論文タイトル】Guaranteed local error estimation for finite element solutions of boundary value problems
【著者】Taiga Nakano, Xuefeng Liu
【doi】10.1016/j.cam.2023.115061
本件に関するお問い合わせ先
広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
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