新潟県におけるオミクロンBA.5の流行-小児の入院患者の急増とワクチンの入院予防効果-
新型コロナウイルスは新潟県内では2020年初頭から流行し始めましたが、重症のため入院する子どもの感染者の数は非常に限られていました。本学大学院医歯学総合研究科⼩児科学分野の幾瀨樹(⼤学院⽣)、齋藤昭彦教授らの研究グループが行った疫学調査により、2022年1月から変異ウイルスのオミクロンのBA.1・BA.2が流行し、子どもの感染者が増加し、そして同年7月にBA.5が流行し始めた途端に子どもの感染者数が爆発的に増加したことがわかりました。感染者の増加に伴って、入院が必要な状態の子どもの感染者数も急増しました。特にけいれんを理由に入院する子どもが多く、1名の子ども(基礎疾患なし)が急性脳症により亡くなりました。新潟県内の子どものBA.5感染者の中で新型コロナワクチンの接種と入院の有無からワクチンの入院予防効果を調べたところ、ワクチン接種により入院リスクを75%下げられることが分かりました。
本研究成果のポイント
- 新型コロナウイルスオミクロンBA.5が2022年7月から新潟県内で流行した
- BA.5の流行により小児の感染者が急増し、入院患者も急増した(特に熱性けいれん)
- BA.5感染に対して、新型コロナワクチンの小児の入院予防効果は75%と高かった
研究内容の詳細
新潟県におけるオミクロンBA.5の流行-小児の入院患者の急増とワクチンの入院予防効果-(PDF:0.8MB)
論文情報
【掲載誌】The Pediatric Infectious Disease Journal
【論文タイトル】Comparison of Clinical Characteristics of Children Infected with Coronavirus Disease 2019 between Omicron Variant BA.5 and BA.1/BA.2 in Japan
【著者】Tatsuki Ikuse, Yuta Aizawa, Takayuki Yamanaka, Satoshi Hasegawa, Takanori Hayashi, Miyako Kon, Tsutomu Tamura, Akihiko Saitoh
【doi】10.1097/INF.0000000000003894
本件に関するお問い合わせ先
広報室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
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