口腔がん進展とコレステロールの関係が明らかに-コレステロールは口腔がん細胞の運動性を高める-
本学大学院医歯学総合研究科のNyein Nyein Chan(大学院生)と同研究科口腔病理学分野の山﨑学准教授、田沼順一教授らの研究グループは、がん細胞中に含まれるコレステロールの量が増加すると口腔がんの進展を引き起こすことを明らかにしました。本発見により、口腔がん進展を制御・抑制する新規治療法開発へ向けた基礎的研究の発展が期待されます。
本研究成果は、2023年3月23日に国際学術誌「International Journal of Molecular Sciences」にオンライン掲載されました。
本研究成果のポイント
- 口腔がん細胞でコレステロールを人為的に増減させた実験から、細胞内のコレステロールレベルを増加させた際、がん細胞は非対称な形態を示し、運動性が高まることがわかりました。
- コレステロールを増加させた細胞では、コレステロール結合蛋白質であるカベオリン1(注1)が細胞の片側に偏って存在することで、非対称な細胞形態を誘導することが示されました。
- 口腔がん病理組織での検討から、カベオリン1が細胞膜に高発現する病変では、手術後の再発またはリンパ節転移率が高いことがわかりました。
- がん細胞内コレステロールを標的とした新規治療法開発への展望が期待されます。
【用語解説】
(注1)カベオリン1
細胞膜に存在するカベオラ(微小なくぼみ)の形成に関わる蛋白質。コレステロールへの結合能力を有し、コレステロールの細胞内輸送にも関わっている。
研究内容の詳細
口腔がん進展とコレステロールの関係が明らかに-コレステロールは口腔がん細胞の運動性を高める-(PDF:2.0MB)
論文情報
【掲載誌】International Journal of Molecular Sciences
【論文タイトル】Cholesterol Is a Regulator of CAV1 Localization and Cell Migration in Oral Squamous Cell Carcinoma
【著者】Nyein Nyein Chan, Manabu Yamazaki *, Satoshi Maruyama, Tatsuya Abé, Kenta Haga, Masami Kawaharada, Kenji Izumi, Tadaharu Kobayashi and Jun-ichi Tanuma
*責任著者
【doi】10.3390/ijms24076035
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