牧野富太郎博士ゆかりの水草ムジナモ(絶滅危惧IA類)国内自生地を発見
中央大学理工学部の西原昇吾兼任講師は、2022年10月、石川県内の農業用ため池において「ムジナモ」を発見しました。国立研究開発法人国立環境研究所気候変動適応センター気候変動影響観測研究室の西廣淳室長と本学教育学部の志賀隆准教授の参加により現地環境調査と遺伝解析を行った結果、発見されたムジナモは人為的に導入されたものではなく、環境改善の結果出現した自生個体群である可能性が高いと判断されました。
ムジナモは国内では1890年に牧野富太郎博士によって発見されて以降、国内の複数の場所で発見の記録がありましたが、1960年代後半までには国内のすべての野生個体群が消失し、人為的に再導入された2個体群のみが現存していました。今回発見された個体群は、「人為導入に由来しないと推測される国内唯一のムジナモ個体群」となります。
農業の近代化に伴い、小規模なため池は管理放棄や埋立ての対象になりがちですが、生物多様性保全上、かけがえのない価値を有するため池が存在することを示す結果と言えます。
本成果は生物多様性分野の国際学術誌「Journal of Asia-Pacific Biodiversity」に掲載されました。
研究内容の詳細
牧野富太郎博士ゆかりの水草ムジナモ(絶滅危惧IA類)国内自生地を発見(PDF: 8.6MB)
論文情報
【掲載誌】Journal of Asia-Pacific Biodiversity
【論文タイトル】The discovery of a new locality for Aldrovanda vesiculosa (Droseraceae), a critically endangered free-floating plant in Japan
【著者】Shougo Nishihara, Takashi Shiga, Jun Nishihiro
【doi】10.1016/j.japb.2023.03.013
本件に関するお問い合わせ先
広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
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