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新規遺伝子治療法の有効性、安全性を大動物で証明-ヒヒを対象とする血友病治療の前臨床研究-

2023年05月25日 木曜日 研究成果

遺伝子治療は難治疾患に対する治療法として着目されています。そこで、遺伝子を安全かつ効率的に生体に導入する方法の確立が重要です。
今回、本学医学部医学科総合診療学講座/大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野の上村顕也特任教授とジョージア大学薬学部のLiu教授らの研究グループは、これまでに開発してきたハイドロダイナミック遺伝子導入法(注1)を用いた遺伝子治療法の開発に向けて、その有効性と安全性を大動物で証明しました。
非ヒト霊長類であるヒヒを対象とする前臨床研究により、肝臓区域選択的なハイドロダイナミック遺伝子導入法が、大動物に安全に応用可能であること、血友病(注2)に対する治療に有用であること、安全に再治療が行えることを示しました。

本研究成果のポイント

  • 遺伝子治療は難治疾患に対する治療法として着目されています。遺伝子を安全かつ効率的に生体に導入する方法の確立が重要です。
  • 本研究グループがこれまでに開発した、肝臓選択的なハイドロダイナミック遺伝子導入法を霊長類(ヒヒ)に初めて応用し、安全性を確認し、遺伝子を導入した肝臓の区域選択的に遺伝子発現を確認しました。
  • ヒト血友病の治療遺伝子を発現するプラスミド(注3)をヒヒに導入し、治療効果のレベルを200日間維持し、再治療も有効でした。
  • 遺伝子治療を行ったヒヒの肝臓以外の臓器には、プラスミドが導入されていないことを確認しました。
  • 臨床現場で使用しているカテーテル操作などを融合して、有用性の高い新規遺伝子治療法を確立しました。
【用語解説】

注1:ハイドロダイナミック遺伝子導入法
物理的な力(水圧)を利用して、遺伝子を対象臓器の血管から導入して、臓器の細胞で目的とする蛋白を発現させる方法です。申請者らはこれまでにこの方法を用いて、肝硬変に対する遺伝子治療法研究や臨床応用するための大動物での検証、肝臓や膵臓など臓器選択的な遺伝子導入法の開発、膵臓発がんモデル動物の確立を重ねてきました。(Kamimura K, et al. Mol Ther, 2009; Kamimura K, et al. Mol Ther, 2010; Yokoo T & Kamimura K, et al. Gene Ther, 2013; Kamimura K, et al. Mol Ther Nucleic Acids, 2013; Abe H & Kamimura K, et al. Mol Ther Nucleic Acids, 2016; Kobayashi Y & Kamimura K, et al. Mol Ther Nucleic Acids, 2016; Ogawa K & Kamimura K, et al. Mol Ther Nucleic Acids, 2017; Shibata O & Kamimura K, et al. Mol Ther Nucleic Acids, 2022)

注2:血友病
出血の際に機能する凝固因子と呼ばれる蛋白の働きが、遺伝的に十分ではないために、出血が止まりにくくなる病気です。

注3:プラスミド
細菌で核外に存在し、染色体DNAとは独立して複製される環状の2本鎖DNAです。また、目的遺伝子を組みこんで、種々の細胞に遺伝子を運び、遺伝子を発現させるために利用されます。

研究内容の詳細

新規遺伝子治療法の有効性、安全性を大動物で証明-ヒヒを対象とする血友病治療の前臨床研究-(PDF:2.0MB)

論文情報

【掲載誌】Molecular Therapy-Nucleic Acids
【論文タイトル】Liver Lobe-specific Hydrodynamic Gene Delivery to Baboons: A Preclinical Trial for Hemophilia Gene Therapy
【著者】Kenya Kamimura, Tsutomu Kanefuji, Takeshi Suda, Takeshi Yokoo, Guisheng Zhang, Yutaka Aoyagi, and Dexi Liu
【doi】10.1016/j.omtn.2023.05.018

本件に関するお問い合わせ先

医歯学系総務課
E-mail shomu@med.niigata-u.ac.jp

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