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糖尿病患者の100人に1人は「治っていた」~4万8千人の患者データ解析で明らかになった 「寛解」の頻度と条件~

2023年05月29日 月曜日 研究成果

糖尿病は「いったんなったら治らない」「一度薬を飲み始めると一生飲み続けなければならない」と言われてきました。しかし、本学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野の藤原和哉特任准教授、曽根博仁教授らの研究グループが、全国の糖尿病専門施設に通院中の4万8千人の2型糖尿病患者(注1)を対象に、糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)の臨床データを分析したところ、いったん糖尿病になった人の中で、血糖値が正常近くまで改善し、薬が不要な状態となる(糖尿病が「寛解」する)人が一定の割合で存在することが明らかになりました。さらに、糖尿病と診断されてからの期間が短い人、HbA1c値(注2)が低い人、肥満度(BMI)が高い人、1年間の体重減少が大きい人、薬物治療を受けていない人に「寛解」が起こりやすいことを明らかにしました。
本研究成果は、2023年5月8日、国際専門誌「Diabetes, Obesity and Metabolism(DOM)」に掲載されました。

本研究成果のポイント

  • 日本人の2型糖尿病患者の約100人に1人が寛解し、1年間の減量幅が5~9.9%の人、10%以上の人では、寛解の頻度がそれぞれ2.5倍、5.0倍増加していた。
  • 糖尿病と診断されてからの期間が短い人、HbA1c値が低い人、BMIが高い人、1年間の体重減少が大きい人、薬物治療を受けていない人においてより寛解する傾向にあった。
  • 1年間の減量幅が5%以上の人では寛解後に再発する傾向が低かった。
【用語解説】

(注1)2型糖尿病
遺伝的素因によるインスリン分泌能の低下に、環境的素因としての生活習慣の悪化に伴うインスリン抵抗性が加わり、インスリンの相対的不足に陥った場合に発症する糖尿病。日本人糖尿病の95%を占める。

(注2)HbA1c値
赤血球中のヘモグロビンという色素のうちどれくらいの割合が糖と結合しているかを示す検査値。採血前1-2か月間の血糖値の平均的な状況を反映する。

研究内容の詳細

糖尿病患者の100人に1人は「治っていた」~4万8千人の患者データ解析で明らかになった 「寛解」の頻度と条件~(PDF:0.8MB)

本研究成果情報について一部誤りがありましたので、2023年6月1日に下記のとおり訂正しました。

Ⅲ.研究の成果 2行目

(誤)2型糖尿病患者47,320人
(正)2型糖尿病患者48,320人

論文情報

【掲載誌】Diabetes, Obesity and Metabolism
【論文タイトル】Incidence and Predictors of Remission and Relapse of Type 2 Diabetes Mellitus in Japan: Analysis of a Nationwide Patient Registry(JDDM73)
【著者】Kazuya Fujihara, Laymon Khin, Koshiro Murai, Yurie Yamazaki, Kahori Tsuruoka, Noriko Yagyuda, Katsuya Yamazaki, Hiroshi Maegawa, Shiro Tanaka, Satoru Kodama, Hirohito Sone, JDDM Study Group
【doi】10.1111/dom.15100

本件に関するお問い合わせ先

医歯学系総務課
E-mail shomu@med.niigata-u.ac.jp

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