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全身性エリテマトーデス患者の抗リボゾームP抗体価は病勢を反映する-治療選択、病態解明の新たな手掛かりとなることに期待-

2023年08月24日 木曜日 研究成果

本学大学院医歯学総合研究科腎研究センター腎・膠原病内科学分野の金子佳賢医学部准教授、成田一衛教授、本学保健管理センターの佐藤弘惠准教授らの研究グループは、全身性エリテマトーデス(SLE)(注1)患者にみられる自己抗体の一種、リボゾームP蛋白(注2)に対する抗リボゾームP蛋白抗体(抗P抗体)の抗体価(注3)と、SLEの病状の激しさを示す各種検査結果や身体症状、炎症性サイトカイン(注4)等の血中濃度が相関することを明らかにしました。また、抗P抗体の抗体価が高いほど高用量の副腎皮質ステロイド薬が治療に必要であり、SLEの病勢の強さを評価したり、治療薬を選択したりする上で、抗P抗体の抗体価を測定することが有用であることを報告しました。本研究は少数例の検討であり、今後は抗P 抗体がどの免疫細胞を標的にして免疫反応を惹起させるのかなど、多数の症例で検討していく必要があります。

本研究成果のポイント

  • 抗P抗体の抗体価は、SLEの病勢の強さを示す各種指標と相関を示しており、抗P抗体価から、SLEがどれだけ重篤か推察することができます。
  • 抗P抗体価が高い患者さんは、SLEに関連した皮膚の病気が多くみられ、また多くの副腎皮質ステロイド薬が必要でした。
  • 抗P抗体の中では、IgG3型の抗体が最もSLEの病状と強い関連を示しました。
【用語解説】

(注1)全身性エリテマトーデス(SLE)
免疫系の異常により、自分自身の体に対して免疫が反応し、様々な臓器に障害を及ぼす疾患。

(注2)リボゾームP蛋白
細胞内で蛋白質を合成するリボゾームを構成する蛋白質。

(注3)抗体価
血液検査で測定できる血中の抗体の量。

(注4)炎症性サイトカイン
主に免疫系細胞から分泌され、炎症反応を引き起こす微量生理活性蛋白質。

研究内容の詳細

全身性エリテマトーデス患者の抗リボゾームP抗体価は病勢を反映する-治療選択、病態解明の新たな手掛かりとなることに期待-(PDF:6.2MB)

論文情報

【掲載誌】Rheumatology
【論文タイトル】Pathogenetic associations of anti-ribosomal P protein antibody titres and its subclasses in patients with systemic lupus erythematosus
【著者】Yoshikatsu Kaneko*, Hiroe Sato, Ayako Wakamatsu, Daisuke Kobayashi, Kaho Sato, Yoichi Kurosawa, Eriko Hasegawa, Takeshi Nakatsue, Takeshi Kuroda, Ichiei Narita
【doi】10.1093/rheumatology/kead402
*:corresponding author

本件に関するお問い合わせ先

医歯学系総務課
E-mail shomu@med.niigata-u.ac.jp

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