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1型糖尿病における歯髄創傷遅延のメカニズムを解明-糖尿病モデルラットを用いた免疫組織学的解析-

2023年11月22日 水曜日 研究成果

本学大学院医歯学総合研究科う蝕学分野の大学院生Rosa Baldeon(博士課程3年)、大倉直人助教、野杁由一郎教授らの研究グループは、1型糖尿病モデルラットに直接覆髄処置(注1)を行い、その治癒過程について免疫組織学的手法を用いて解析を行いました。組織修復には間葉系幹細胞(注2)が修復に必要な細胞へ分化(注3)する必要があり、歯髄創傷治癒時では象牙芽細胞様細胞(注4)への分化が必要ですが、この分化過程が糖尿病モデルラットでは遅延していることを明らかにしました。さらに高血糖状態のため、修復に関与するM2マクロファージ(注5)の創傷部への集積が困難な状態である可能性が高いことを確認しました。
本研究成果は、2023年11月7日、科学誌「Journal of Endodontics」のオンライン版に掲載されました。

本研究成果のポイント

  • 1型糖尿病モデルラット(DM1)では、歯髄創傷治癒が遅延することを確認した。
  • DM1の治癒が遅延する原因として、間葉系幹細胞から象牙芽細胞様細胞への分化が遅延していることに加え、修復に関与するM2マクロファージの創傷部への集積が阻害されていることを確認した。
【用語解説】

(注1)直接覆髄処置
むし歯の除去中に神経が露出した場合に行われる治療法で、神経を特殊な薬剤で直接覆い、神経を保護します。

(注2)間葉系幹細胞
私たちの体に自然に備わっている幹細胞の1つで、骨細胞、軟骨細胞、脂肪細胞、神経細胞など様々な細胞に分化できると言われています。

(注3)分化
細胞が特的の機能をもつ細胞に変化すること。

(注4)象牙芽細胞様細胞
象牙芽細胞(象牙質と呼ばれる歯を作り出す細胞)の細胞死をきっかけに、歯髄(神経と呼ばれる部分)の中にある細胞がこの象牙芽細胞に変化した細胞を指します。

(注5)M2マクロファージ
慢性炎症に関わるマクロファージの状態で、創傷治癒を促進します。

研究内容の詳細

1型糖尿病における歯髄創傷遅延のメカニズムを解明-糖尿病モデルラットを用いた免疫組織学的解析-(PDF:2.0MB)

本研究成果情報について一部誤りがありましたので、2023年11月24日に下記のとおり訂正しました。

Ⅳ.研究成果の公表 著者

(誤)・・・, Kunihiko2), Nagako Yoshiba1), ・・・
(正)・・・, Kunihiko Yoshiba2), Nagako Yoshiba1), ・・・

論文情報

【掲載誌】Journal of Endodontics
【論文タイトル】Wound healing processes after pulpotomy in the pulp tissue of type 1 diabetes mellitus model rats
【著者】Rosa Baldeon-Gutierrez, Naoto Ohkura, Kunihiko Yoshiba, Nagako Yoshiba, Aiko Tohma, Ryosuke Takeuchi, Razi Saifullah Ibun Belal, Naoki Edanami, Shintaro Takahara, Susan Gomez-Kasimoto, Takako Ida, Yuichiro Noiri
【doi】10.1016/j.joen.2023.10.016

本件に関するお問い合わせ先

広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp

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