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日本の透析導入患者では、男女とも肥満者の割合が増加-やせの者の割合は減少しているが、なおも一般住民よりも高い-

2024年11月01日 金曜日 研究成果

肥満は、腎臓に悪影響を及ぼし、慢性腎臓病(Chronic kidney disease, CKD)の発症や悪化に繋がる可能性があります。近年、透析導入(注1)患者でも肥満者の割合が高まっていることが米国と欧州から報告されていますが、日本の経年変化は検討されていませんでした。そこで、本学大学院医歯学総合研究科臓器連関学講座若杉三奈子特任准教授らの研究グループは、2006年から2019年まで、日本の透析導入患者で、肥満者とやせの者の割合について経年変化を評価しました。その結果、男女とも肥満者の割合が有意に増加し、その増加率は一般住民(注2)を上回っていました。一方、やせの者の割合は減少していましたが、なおも一般住民よりも高い割合でした。透析導入患者でのやせを防ぎつつ、肥満を防ぐ取組が必要と考えられます。

本研究成果のポイント

  • 透析導入患者の肥満者(BMI(注3)≧25 kg/m2)及び、やせの者(BMI<18.5 kg/m2)の割合について、2006~2019年までの経年変化を一般住民とともに評価した。
  • 年齢調整(注4)した肥満者の割合は、透析導入患者では男女とも有意に増加し、その増加率は一般住民を上回っていた。
  • 年齢調整したやせの者の割合は、透析導入患者では男女とも有意に減少していたが、なおも一般住民よりも高かった。
【用語解説】

(注1)透析導入
透析導⼊とは、CKD が進⾏し、腎臓の機能が低下した状態(末期腎不全)に⾄ったため、透析療法を開始されたことを意味します。なお、透析療法を経ずに腎臓移植が⾏われる場合もありますが、⽇本では極めて少数例です。

(注2)一般住民
一般住民とは、特定の集団や対象者ではなく、すべての人を含んだ集団を言います。健康な人も疾患を有する人もすべて含みます。英語では、general populationと表現されます。

(注3)BMI
BMIとは、body mass indexの略で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値であり、世界中で肥満ややせの判定などに用いられている指標です。WHO(World Health Organization、世界保健機構)の基準では30以上を”Obese”(肥満)としていますが、日本人は欧米人よりもBMIが平均的に低いことが特徴であり、日本肥満学会の基準では25以上は肥満、18.5未満は「低体重」(やせ)と定義されています。

(注4)年齢調整
年齢調整とは、年齢分布が異なる集団を比較する際に、年齢構成が同じになるように、基準となる年齢分布(標準人口といいます)を用いて計算することを言います。その計算方法には、主に直接法と間接法があります。今回の研究で用いた直接法は、標準人口(今回の場合は、2019年人口(20歳以上))と同じ年齢構成であると仮定した場合の肥満者あるいはやせの者の割合を計算し、比較する方法です。

研究内容の詳細

日本の透析導入患者では、男女とも肥満者の割合が増加-やせの者の割合は減少しているが、なおも一般住民よりも高い-(PDF:0.9MB)

論文情報

【掲載誌】Nephrology(Carlton)
【論文タイトル】An increasing trend of overweight and obesity in the Japanese incident end-stage kidney disease population
【著者】Minako Wakasugi, Shin Goto
【doi】10.1111/nep.14410

本件に関するお問い合わせ先

医歯学系総務課
E-mail shomu@med.niigata-u.ac.jp

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