新しい歯周病治療薬を開発-炎症を抑えるマクロファージの誘導に注目-
本学大学院医歯学総合研究科歯周診断・再建学分野の中島麻由佳助教と多部田康一教授は、ハーバード大学との国際共同研究により、薬剤キャリア「cellular backpack(細胞性バックパック:BP)」を用いてマクロファージを抗炎症性に誘導することで歯周病の進行を抑制することを動物モデル実験で明らかにしました。本成果により、これまで臨床応用が困難だった歯周病に対する免疫調整薬の開発が促進されることが期待されます。
本研究成果は、2024年11月23日、国際学術誌「Journal of Controlled Release」のオンライン版に掲載されました。
本研究成果のポイント
- BPを歯周病治療用に改良した。
- BPから徐放注1される極めて少量のインターロイキン4(IL-4)により、抗炎症性マクロファージが効率的に誘導された。
- IL-4を徐放するBP(IL-4-BP)を結合させたマクロファージを歯周病モデルマウスの歯肉に投与した結果、実験的歯周病の進行が有意に抑制された。
【用語解説】
(注1)貪食作用
異物などを免疫細胞が取り込んで分解するプロセス
研究内容の詳細
新しい歯周病治療薬を開発-炎症を抑えるマクロファージの誘導に注目-(PDF:0.7MB)
論文情報
【掲載誌】Journal of Controlled Release
【論文タイトル】Backpack-carrying macrophage immunotherapy for periodontitis
【著者】Mayuka Nakajima, Neha Kapate, John R Clegg, Mayumi Ikeda-Imafuku, Kyung Soo Park, Ninad Kumbhojkar, Vinny Chandran Suja, Supriya Prakash, Lily Li-Wen Wang, Koichi Tabeta, Samir Mitragotri
【doi】10.1016/j.jconrel.2024.11.037
本件に関するお問い合わせ先
広報事務室
E-mail pr-office@adm.niigata-u.ac.jp
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