船舶レーダーはコウモリの飛翔をどこまで探知できるのか?-風力発電所建設時の環境アセスメント調査の効率化に期待-
本学佐渡自然共生科学センターの佐藤雄大特任助教、河口洋一教授らの研究グループは、船舶レーダーを用いたコウモリ調査の可能性を検証し、広域モニタリング手法としての有効性を確認しました。
研究グループは、高い飛翔能力をもつことで知られるヒナコウモリ(Vespertilio sinensis, 注1)を対象に、観測範囲を確保するためのレーダー設置方法を示すとともに、個体レベルの飛翔を高い精度で検出できる観測距離を明らかにしました。レーダーは従来の方法よりも広範囲を調査できる可能性が示され、コウモリにとって重要な利用空間の解明が進むことが期待されます。
本研究成果は、2025年11月20日、国際科学誌「PLoS One」にオンライン掲載されました。
本研究成果のポイント
- コウモリの飛翔を効率的に捉えるためのレーダー設置方法を示した。
- 船舶レーダーでコウモリを検出可能な観測距離を明らかにした。
- 船舶レーダーは、コウモリの広域モニタリングに有用な調査ツールとなり得る。
【用語解説】
(注1)ヒナコウモリ:
日本では、北海道・本州・四国・九州に広く分布する。鉄道高架など人工構造物にも棲んでおり、季節的に長距離を移動することが示唆されている。国内の風力発電所におけるコウモリの死亡事故では、本種の報告が多い。
研究内容の詳細
船舶レーダーはコウモリの飛翔をどこまで探知できるのか?-風力発電所建設時の環境アセスメント調査の効率化に期待-(PDF:1MB)
論文情報
【掲載誌】PLoS One
【論文タイトル】Detection performance of an X-band marine radar system for free-flying Asian particolored bats (Vespertilio sinensis)
【著者】Takahiro Sato, Yoichi Kawaguchi
【doi】10.1371/journal.pone.0337422
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