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日本海側での津波堆積物調査 -福井県若狭湾沿岸での津波堆積物の発見-

2015年07月03日 金曜日 トピックス

新潟大学では,平成25年度より文部科学省「日本海地震・津波調査プロジェクト」(*1)のうち“津波堆積物の調査”(*2)の委託を受け,日本海沿岸域における津波の履歴を堆積物から復元するための調査研究を行っています。

このたび,若狭湾沿岸での調査結果の概要がまとまり,担当の福井大学山本博文教授が2015年地球惑星科学連合大会において,成果発表を行いました。

内 容

若狭湾沿岸の高浜町の海岸から約500m内陸の低地において,14~16世紀と推定できる津波堆積物を発見しました。若狭湾沿岸では,歴史史料から1586年の天正地震による津波によって被害が発生したとされていますが,これまでの調査では津波堆積物は発見 されていませんでした。今回の調査では,年代値の誤差から1586年とは特定できていませんが,14~16世紀の間に津波が発生し,内陸の低地に堆積物がもたらされたことが明らかになりました。この津波堆積物の他に,約600~800年前,約5,200年前の年代を示す津波堆積物も発見しました。
1586年の天正地震による津波の有無が注目されていますが,歴史史料に記載されたような津波はなかったとしても,約5,000年間に3回の津波が発生し,堆積物として記録されていることが重要であり,今後の津波防災に関する基礎資料となるものと考えています。

今後の展開

平成26年度は,富山湾周辺地域の津波堆積物調査を行っており,現在,成果概要の取りまとめを行っています。また,平成27年度は鳥取・島根県沿岸での調査を予定しています。

*1:日本海地震・津波調査プロジェクト
日本海地震・津波調査プロジェクトホームページ
文部科学省から東京大学が代表として委託をうけ,平成25年度から8カ年に渡り 日本海の沖合から沿岸域及び陸域にかけての領域で観測データを取得し,日本海の津波波源モデルや沿岸・陸域における震源断層モデルの構築,津波・強震動シュミレーションなどを行い,防災対策をとる上での基礎資料を提供するとともに,地震調査研究推進本部の実施する長期評価・強震動評価・津波評価に資する基礎データを提供することを目的とした調査研究プロジェクト。

*2:津波堆積物の調査
新潟大学が代表となり,島根大学,福井大学,富山大学,秋田大学,北海道立地質研究所とともに,北海道から九州に至る日本海沿岸域での津波堆積物の新たな認定手法も含めた検討と履歴・遡上範囲の解析を行い,歴史時代以前における津波波源の推定に必要な基礎資料を得ることを目的とした調査研究を実施。

270702_02
掘削調査
270702_01
地層定方位抜取装置を用いた調査

本件に関するお問合せ先
新潟大学広報室
電話 025-262-7000
FAX 025-262-6539

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