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【学生・教職員の皆さんへ】学長メッセージ -新型コロナウイルス感染症対策について-

2020年03月09日 月曜日 お知らせ

新潟大学長 牛木辰男

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が昨年中国で発生し、現在、日本を含めた各国に感染が拡大しています。新潟大学の学生、教職員の皆さんは見識をもって、正確な認識のもとに、自分の安全と日本の未来のために、現在行っている対策にご協力いただきたくお願い申し上げます。
このウイルスの感染の特徴は、3月2日に厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下「専門家会議」)から出された見解に示されていますが、

  1. 症状の軽い人からの感染拡大が起こっていること。特に、若い人は感染しても症状が軽いことが多く、その人たちが活動することで、結果として中高年層に感染が及んでいること。
  2. 感染者の約80%は他の人に感染させていないが、一定の条件を満たす場所において一人の感染者が複数人に感染させる事例が報告されていること。すなわち、ライブハウス、スポーツジム、ビュッフェスタイルの会食、スキーのゲストハウスなど、屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団(クラスター)が発生すること。
  3. 「クラスター」が次の「クラスター」を生むことが、感染の急速な拡大を招くと考えられること。

が指摘されています。その点で、「専門家会議」から全国の若者の皆さんに対して「人が集まる風通しが悪い場所」を避けてほしいという呼びかけがされていることを、十分理解してください。これは皆さん自身の感染リスクを最小限に抑えるために重要ですし、自分自身がスプレッダー(感染源)になって、他者に感染させないためにも大切なことです。この時期の居住地域を越えての移動も、自身の感染のリスクが高まると同時に、全国に感染を広げることにつながりかねません。

新型コロナウイルス感染症のリスクを考えるには二つの観点があります。

  1. 新しい感染症であること:新型コロナウイルスは、従来のコロナウイルスとよく似た症状を示しますが、新しい感染症で、特効薬や特別な治療薬がありません。従って、重症化した場合でも対症的な治療しかないため、死亡する確率が高くなっています。また、新型コロナウイルス感染では、高齢者や基礎疾患のある人で重症化しやすいことで、10~40代では致死率が0.2%程度であるのに対し、50代では1.3%、60代では3.6%、70代では8.0%、80歳以上は14.8%と急速に上昇することです。この致死率は、インフルエンザが全体で0.01~0.1%程度であることを思うと、いかに高率であることがわかります。もちろん、ワクチンや特効薬の開発が現在急速に進められていますが、実用化には1年ほどかかることが予想されます。その点で、感染をできるだけ予防し、重症者を増やさないことが現在必要なことです。
  2. パンデミックの可能性があること:感染症の流行にはアウトブレイク(集団発生)、エピデミック(流行)、パンデミック(世界的大流行)の三つの段階があります。新型コロナウイルスの現在の流行はエピデミックの段階からパンデミックになる臨界点にあると考えられる極めて重要な時期にあります。それは、エピデミックを最小限にし、感染者や重症者に対応できる医療体制を整えるための時間作りという点でも重要です。
    今回の学校閉鎖や集会イベントの中止も、移動の自粛もすべて一緒に行わないと効果が出ないことが予想されています。単に自分が感染しなければいいという問題ではなく、日本全体の問題であり、日本人の見識が問われることです。

以上のことから、皆さんには以下のことをお願いします。

  1. 石鹸での手洗いや消毒剤を使った手指衛生を励行し、咳エチケットを守ってください(咳・くしゃみが出るときはマスクをする、ティッシュで口・鼻を覆う、袖で覆う)。
  2. 不特定多数の人々が集まる風通しが悪い場所を避けてください。特に、多くの人々が近距離で話し合う宴会やイベント等は避けてください。
  3. 感染者が拡大している地域への不要不急の移動は控えてください。
  4. 咳、熱、だるさなどの症状があったら、自宅待機をしてください。これは他の人にうつさないようにするためです。4日ほどしても治らないようであれば新潟市の場合は、新潟市保健所に電話して病院を紹介してもらってください(新潟市保健所 025-212-8194)。その際に大学(学生は所属部局の学務係、教職員は所属部局の庶務・総務担当係)にも申し出てください。

3月中は、現在の「封じ込め」の対策が続くことになると思いますが、2月末からの「封じ込め」の効果は来週あたりから見えるのではないかと期待しています、一方で、感染の拡大が続くのであれば、政府が「非常事態宣言」を出すということもありえますし、その場合は、今以上に制限されます。また、最悪の事態はパンデミックになることです。いずれにしても、大きな変化がない限り、3月中は今の対策に準じることになりますが、その間、3月末までに4月以降の対応方針をお示しするようにします。

なお、特に学生の皆さんには、さまざまな自粛のために、どのように日々を暮らせばよいか悩んでいる人も多いのではないかと思います。しかし、ピンチはチャンスという言葉があるように、この時期は、これまでの社会や生活など、今まで普通だと思ってきたことを考え直してみる絶好のチャンスです。ぜひ、有効にこの時間を使ってもらいたいと思います。

インターネットには、多様なニュースが流れており、その中にはフェイクニュースもたくさんあります。マスコミの論調も偏っているものもありますが、新潟大学の皆さんは、どうか自分の目で事実を見極めて、冷静に対処していただきたいと思います。また、いたずらにおびえたり、逆に危機感をあおったり、他人に偏見をもって接することのないようにお願いします。

 


 

補足:新型コロナウイルス感染症についての必要最小限の知識と、今行われている対策の意味を学生、教職員の皆さんに正しく知ってもらいたいと思います。そこで、医歯学系の教員のご助言を得ながら、文系理系の様々なバックグラウンドの方々が読むことを念頭に、ごく基礎的な知識から、感染防止対策、現在の国の対策、それに対応する新潟大学の対応の意味についていろいろ記しましたので、それぞれの方が必要と思われるところだけを読んでもらえたらと思います。
(下記の見出しリンクをクリックすると該当項目までジャンプします)

ウイルスとウイルス感染症とは?

「ウイルス」は、遺伝情報をもつ核酸(DNAやRNA)をたんぱく質と脂質が取り囲んだごく微小な粒子です。その大きさは100nm(1mmの1万分の1)程度ですから、普通の顕微鏡では見えないほど小さいものです。ウイルスは単独では自己複製ができないのですが、細胞に感染(寄生)して、細胞の中の装置を使って増殖することができます。この感染により私たちの体の中の細胞が破壊されて起こる病気が「ウイルス感染症」です。
ウイルスにはいろいろな種類があり、それぞれの名前がついています。このうち、インフルエンザウイルスが感染した場合はインフルエンザ感染症といい、ノロウイルスが感染した場合はノロウイルス感染症、コロナウイルスが感染したものがコロナウイルス感染症です。それぞれのウイルスは、我々の体の中で、感染しやすい場所・増殖しやすい場所(細胞)があります。例えばノロウイルスは胃腸の細胞に感染しやすいので急性胃腸炎をおこします。コロナウイルスは喉や気道、肺の細胞に感染し増殖しやすいので、咳やのどの痛み、さらに肺炎を起こします。

新型コロナウイルス感染症とは?

新型コロナウイルス感染症は、昨年(2019年)12月に中華人民共和国湖北省の武漢において認識され、以来、中国を中心に感染が国際的に広がりを見せているウイルス感染症です。
日本国内では今年(2020年)1月15日に武漢市に渡航歴のある肺炎患者からこの新型ウイルスが最初に検出されました。
一般に、ウイルスは感染する動物を選ぶことが多く、人に感染するものと他の動物に感染するものが異なります。コロナウイルスも同様で、これまで人に感染するタイプのコロナウイルスは、その遺伝子配列の違いから6種類知られていました。このうちの4種類は一般の風邪の原因の10-15%を占めるもので、多くは咳がでたり喉が痛かったりしたあとに軽症で終わります。残りの2種類は2002年に発生した「重症急性呼吸器症候群(SARS)」と2012年以降主に中東で発生している「中東呼吸器症候群(MERS)」の原因ウイルスです。新型コロナウイルスは、これら6種類とは異なる遺伝子配列をもった新しいコロナウイルスです。
一般に人以外の動物に感染するウイルスは人に感染しませんが、まれに動物由来と考えられるウイルスが人に感染することがあります(人獣共通感染症)。その場合、感染した人から別の人に、そのウイルスが感染することはありません。しかし、何らかの理由でそのウイルスの遺伝子配列が少し変わることで、ヒトからヒトに感染する新しいウイルスができあがることになります。新型コロナウイルスの発生原因はまだわかりませんが、こうした動物由来のコロナウイルスのなかでコウモリ由来のコロナウイルスに近い遺伝子配列をしていることが指摘されています。

新型コロナウイルスはどのように感染するのか?

新型コロナウイルス感染症は、一般的なコロナウイルス感染(いわゆるウイルス性の風邪)と同じ呼吸器感染症です。したがって飛沫(ひまつ)感染と接触感染の二つが考えられます。

  1. 飛沫感染:感染した人の飛沫(くしゃみ、咳、つば)と一緒にウイルスが放出され、周囲の人がその飛沫を口や鼻から吸い込むことで感染します。会話では1メートル、くしゃみ・咳をすると2-3メートルほど飛沫が飛ぶと言われています。そのため、感染者がマスクをすることで、周囲への飛沫を最小限にすることができます。その点で、感染者ないし感染を疑われる人がマスクをすることは有効です。
  2. 接触感染:感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後で、その手で周囲の物に触れると、感染者のウイルスがそこに付着します。この後に未感染者がその部位に触ると、その手にウイルスが付着してしまうことになりますが、これに気づかずに手で自分の鼻や目をこすったり、大皿から同じ食べ物を食べたりすると、感染がおこります。その点で、手洗いをこまめにすることに効果があります。特に、コロナウイルスはアルコール(70%以上)や界面活性剤(いわゆる石鹸)に弱いことが知られているので、アルコール消毒や石鹸による手洗いが有効です。

なお、空気感染(ウイルス粒子そのものが空気中に浮遊して感染すること)は起きていないと考えられています。一方で、今回の新型コロナウイルスにおいては、換気の悪い狭い閉鎖空間に多数の人が近距離で声を出すような状態が続く環境で、感染者がいると、咳やくしゃみがなくても複数の人に感染がおこることが知られてきています(「クラスター」感染、後述)。そのため、屋内でのサークル活動やコンサート、体育館での運動などが問題となってきています。

新型コロナウイルス感染症の症状は?

新型コロナウイルスに感染した人の多くは、3日~14日ぐらいの潜伏期間(症状を示さない期間)を置いてから発熱・呼吸器症状(喉の痛み、咳)などの感染症状が認められるようになります。37-38度の発熱や呼吸器症状が1週間前後続き、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多いのが特徴だとされています。インフルエンザにくらべて軽めの症状がだらだら続くことが多いようです。
年齢によって異なりますが、全体でいうと80%ぐらいの人は軽症で終わり、1週間ぐらいで症状が軽快します。その点で、こうした場合は特に治療の必要はなく、自宅で安静にしておくことで十分です。むしろ他人に移さないように、家族や身近な人に移さないように気を付けながら、自宅待機していることが効果的です。
一方で、4日~1週間ほどたっても熱が続く場合や、呼吸が苦しくなってきたり、咳が悪化した場合は、肺炎を起こしている可能性がありますので、「帰国者・接触者相談センター」等に相談する必要があります。新潟市の場合は、新潟市保健所に電話をしてください(025-212-8194)。そこから受診する病院を紹介されます。
新型コロナウイルスのもう一つの特徴は、高齢者や基礎疾患のある人で重症化しやすいことで、10~40代では致死率が0.2%程度であるのに対し、50代では1.3%、60代では3.6%、70代では8.0%、80歳以上は14.8%と急速に上昇することです。
なお、ごく最近の調査からわかってきたことに次の点があります。
1)発症早期は37度ぐらいで高い熱が出ない人もいる。一週間ぐらい熱が上がったり下がったりする。このため、熱があってもいつもとおり行動できる。
2)子供では咳だけの症状の人も確認されている(若いほど症状が軽い傾向にある)
3)潜伏期間は早いと3日ぐらいだが最長14日くらいの人がいる(十分な健康観察期間が必要)

新型コロナウイルス感染症の予防法は?

新型コロナウイルスにはまだ特効薬や特別な治療薬がありません。そこで、一般的な感染予防対策に従って、感染しないようにすることが大切です。新型コロナウイルスは、通常のコロナウイルスと同様に主に飛沫感染と接触感染により伝播するので、次のような点に注意が必要です。
手洗い:ウイルスで汚染した手指を介して、目や口の粘膜から感染することのないように、手洗いを徹底することが重要です。階段やエスカレータの手すり、つり革、ドアノブなどに感染者が触ったことにより付着したウイルスは最低でも数時間は生存する可能性があるといわれています。その点で、外出先から戻った時の手洗いの徹底は予防に有効です。
マスクの着用:咳が出る人がマスクをすることは、もしも自分が感染していた場合に、飛沫による汚染を他人に及ぼさないために意味があります。もしもマスクがない状態で咳やくしゃみをする場合は、手で口を覆わないで、肘でくしゃみを受け止めることが重要です(咳エチケット)。一方で、健常者がマスクをすることは、直接飛沫を浴びないという点では意味がありますが、通常のマスクで必ずしも飛沫を完全に吸い込まないようにすることはできないことも注意すべきことです。
こうした基本的な感染症の予防対策のほかに、閉鎖空間における近距離の会話や、会食における飛沫感染には十分注意する必要があります。

クラスター感染とは?

日本で発生している新型コロナウイルスの解析から、「クラスター」感染という現象がわかってきました。「クラスター」は小規模な集団感染という意味です。これは風通しが悪く人が密集した場所に感染者がまぎれると、一気に感染が広がるという現象です。これについては3月2日に出された「専門家会議」の見解が極めて重要ですので、是非原文を読んでいただきたいと思います。
厚生労働省WEBサイト
要約すると、
1)症状の軽い人からの感染拡大が起こっていること。特に、若い人は感染しても症状が軽いことが多く、その人たちが活動することで、結果として中高年層に感染が及んでいること。
2)感染者の約80%は他の人に感染させていないが、一定の条件を満たす場所において一人の感染者が複数人に感染させる事例が報告されていること。すなわち、ライブハウス、スポーツジム、ビュッフェスタイルの会食、スキーのゲストハウスなど、屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で、一定時間以上交わることによって、患者集団(クラスター)が発生すること。
3)「クラスター」が次の「クラスター」を生むことが、感染の急速な拡大を招くと考えられること。
です。その点で、「専門家会議」から全国の若者の皆さんに対して、「人が集まる風通しが悪い場所を避けてほしい」という呼びかけがなされました。

国レベルの新型コロナウイルス感染症対策はなぜ必要なのか?

新型コロナウイルス感染症のリスクを考えるには二つの観点があります。
1)新しい感染症であること:新型コロナウイルスは、従来のコロナウイルスとよく似た症状を示しますが、新しい感染症で、特効薬や特別な治療薬がありません。従って、重症化した場合でも対症的な治療しかないため、死亡する確率が高くなっています。また、新型コロナウイルスに感染した場合、1~2%死亡するとされ、特に高齢者や基礎疾患のある人で重症化しやすく、日本国内の死亡者も70-80代に集中しています。もちろん、ワクチンや特効薬の開発が現在急速に進められていますが、実用化には1年ほどかかることが予想されます。その点で、感染をできるだけ予防し、重症者を増やさないことが現在必要なことです。
2)パンデミックの可能性があること:感染症の流行にはアウトブレイク、エピデミック、パンデミックの三つの段階があります。
アウトブレイク(集団発生)またはエンデミック:コミュニティや地理的に狭い一定の地域での集団発生で、季節性インフルエンザの流行などがこれに属します。
エピデミック(流行):特定地域や集団において、予測レベルを超えた感染例の増加が突発的にみられる場合をエピデミックといい、地域や国を越えて広がることがあります。
過去の例では重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行がこれに属します。
パンデミック(世界的大流行):複数の国や大陸で感染が同時期に発生し拡大するものです。もっとも大きなパンデミックは1918~19年に流行したスペイン風邪ですが、2009年のH1N1型インフルエンザの流行もWHOがパンデミック宣言をしました。パンデミックになると世界経済も混乱を招き、医療も限界を超えることになります。
専門家の見方によると思いますが、新型コロナウイルスの現在の流行はエピデミックの段階からパンデミックになる臨界点にあると考えられることから、各国、とくに中国以外では、感染が拡大しつつある韓国、イタリア、イラン、日本の対応が注目されているわけです。

政府の「基本方針」について

日本政府は2月25日に「新型コロナウイルス感染症の基本方針」を公表しました。なぜこの時期に、と思う人が多いのではないかと思います。
一般に海外に新規の感染症が発生した場合、国がとる対策は、1)国内への侵入防止、2)これを防げなかった場合の国内での感染拡大防止、3)さらに感染が拡大した場合の重症化防止、という3段階に整理することができます。
今回の新型コロナウイルス感染症は中国で発生したので、まずは国内への侵入防止の対策が取られました。その取り組みが正しかったかは後に検証されると思いますが、ダイヤモンド・プリンセス号の隔離政策は、この段階での対応でした。しかし、侵入防止策にも関わらず、1月末から国内の複数地域で、感染経路が明らかではない患者が散発的に発生しはじめ、2月21日には国内感染者(ダイアモンド・プリンセス号の感染者を除く)が100名を超えるにいたりました。その点で、感染の拡大防止の段階に入り、感染の流行を早期に収束させる重要な時期に入ったわけです。
一方で、この新型コロナウイルスは未知の感染症で、その特効薬もこれからの課題です。現状で行わなければならないことは、「感染者の増加数と増加のスピードを極力抑えること」にあります。それは、エピデミックを最小限にし、感染者や重症者に対応できる医療体制を整えるための時間作りという点でも重要です。
こうした観点から、個人の感染症対策の徹底とともに、「クラスター」防止のための戦略が出てきたということができます。新型コロナウイルス感染症は、これまでに経験をしたことのない感染症なので、どのような対策が成功するかは難しく、専門家の意見も分かれるところです。医学的エヴィデンスが集まるまでにはまだ時間がかかりますから、過去の経験に頼ることも必要です。過去にパンデミックを起こしたスペイン風邪(1918-19年)では、学校閉鎖と集会やイベントの中止を徹底した米国の地域において、しなかった地域よりも死亡者数が少なかったという記録があるそうです。また、今回の学校閉鎖や集会イベントの中止も、すべて一緒に行わないと効果がでないことが予想されています。さらに、居住地域を越えての移動は、自身の感染リスクが高まると同時に、全国に感染を広げることにもなりかねないので、皆さんの旅行の自粛もきわめて重要になります。つまり、こうした自粛対策は単に自分が感染しなければいいという問題だけなのではなく、日本全体の問題であり、日本人の見識が問われることです。
たいした数の感染者もいない新潟市で、ここまで大げさに、と考える人もいるかもしれません。しかし、WHOが感染拡大を懸念している韓国、イタリア、イラン、日本のなかで、実は現在唯一、日本の感染拡大が緩やかなのも事実です。日本ではコロナウイルス感染症に対する国民の関心が高く、マスクの着用、手洗いの励行、イベントの中止などに勉めているからだと思われます。その点でも、今の段階で徹底した対策を行うことで、感染拡大を食い止めることの希望があると思います。今がもっとも大切な時期ですので、卒業式の中止や、集会の自粛を始め、どうかご理解をよろしくお願いします。

今後はどうなるのか?

3月中は、現在の「封じ込め」の対策が続くことになると思います。2月末からの「封じ込め」の効果は今週あたりから見えるのではないかと期待しています、一方で、感染の拡大が続くのであれば、政府が「非常事態宣言」を出すということもありうると思います。その場合は、今以上に制限されることになります。また、最悪の事態はパンデミックになることです。いずれにしても、大きな変化がない限り、3月中は今の対策に準じることになりますが、その間、3月末までに状況を見きわめできるだけ早く4月以降の対応方針をお示しするようにします。

この期間を過ごす学生の皆さんへ

学生の皆さんには、サークル活動や集会の禁止を始め、閉鎖空間での酒食を伴う会などの制限が生じ、また居住地域を越えての移動(旅行)の自粛もお願いし、どのように日々を暮らせばよいか悩んでいる人も多いのではないかと思います。でも、ピンチはチャンスという言葉があるように、この時期は、これまでの社会や生活など、今まで普通だと思ってきたことを考え直してみる絶好のチャンスです。ぜひ、有効にこの時間を使ってもらいたいと思います。ちょっと窮屈に感じるとしても、自由が奪われるわけではありません。むしろ今の自由を守るために、ほんの少し行動パターンを変えてみるという気持ちが大切です。群れることが人生の本質でもありませんし、この機会に「日常の大切さ」について考えてみる良い機会かもしれません。
大学で学んで、もっと深く考えてみたいと思っていたこともあるのではないでしょうか。せっかくの時間を読書に打ち込んでもいいでしょう。多人数の集会は自粛の対象ですが、感染予防対策の基本を守りながら、家族とゆっくり話をしたりできたら、それも素晴らしいことです。あるいは料理に挑戦したり、絵に挑戦するなど、新しいことにチャレンジしてみることもできるでしょう。家の近くの静かな公園をぶらりと散歩すれば、春の息吹を見つけたり、何かの発見があるかもしれません。
社会に出て働くようになると、こうしたまとまった静かな時間はなかなかありません。ぜひ、知的好奇心を最大限に発揮して、限られた行動範囲のなかでも今にしかできない豊かな時間を作ってもらいたいと思います。

*以下のページも参考にしてください。
1)国立大学協会からの学生へのメッセージ
2)厚生省ホームページ
3)日本経済新聞(新型コロナ感染 世界マップ)
4)ESRIジャパン(都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ)