日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業により「COVID-19ワクチン開発」を実施します
本学では、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)創薬支援推進事業「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発(アカデミア主導型)」として、「組み換えBCG*(rBCG)技術を利用したCOVID-19ワクチン開発(研究代表者:大学院医歯学総合研究科細菌学教室 松本壮吉教授)」に向けた研究を実施します。
本研究課題では、rBCG技術を利用し、BCGの遺伝子を組み換えることによって、接種後の体内において新型コロナウイルス感染症原因ウイルス「SARS-CoV-2」の抗原性たんぱく質を持続的に発現する、rBCGワクチンの開発を行います。(*BCG: Bacille de Calmette et Guérin)
本研究のポイント
- BCGの遺伝子を組み換える「rBCG技術」を利用し、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの開発を目指します。
- 新型コロナウイルス感染症原因ウイルス「SARS-CoV-2」の抗原性たんぱく質を長期に亘って持続的に発現する、rBCGを作成します。
- 新型コロナウイルスに対して高い予防効果を示しつつ、BCGと同様に、安全で、生産コストに優れたワクチンの開発が期待されます。
BCGワクチンは、結核に対する生ワクチンであり、安価に製造できることに加え、これまでに最多の40億人以上の人々に接種された実績を持つ、高い安全性を有するワクチンです。このBCGワクチンは、ウシ型結核菌を弱毒化した結核に対する生ワクチンですが、結核以外の難病にも効果を発揮し、また長期に亘って免疫を活性化するはたらきがあります。昨今の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の中、BCGワクチン接種国では、その発生率や死亡率が低い傾向にあると指摘されています。科学的な因果関係は証明されていませんが、BCGが新型コロナウイルス感染症にも有効な可能性があります。
本学大学院医歯学総合研究科細菌学教室(松本壮吉教授)のグループは、BCGの遺伝子を組み換えて、目的のたんぱく質を安定的に発現させるための「組み換えBCG(rBCG)技術」を有しています。今回採択された研究課題では、この技術を応用し、本学、東京大学、国立感染症研究所、日本ビーシージー製造株式会社が協働しながら、新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の抗原性たんぱく質を発現する「rBCG-SARS-CoV-2ワクチン」を作成します(下図参照)。この研究の成果により、新型コロナウイルス感染症に対して長期間の予防効果を発揮しつつ、人体にとって安全で、生産コストに優れたCOVID-19ワクチンの作成が期待されます。
採択課題概要
- 事業名 日本医療研究開発機構(AMED)創薬支援推進事業「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発(アカデミア主導型)」
- 採択課題名 「組み換えBCG(rBCG)技術を利用したCOVID-19ワクチン開発」
- 代表機関 新潟大学
- 研究体制と研究開発課題名
代表者 氏名・所属 研究課題名 ○ 松本壮吉(新潟大・医・教授) 「組み換えBCGワクチンの作成と品質管理」 藤井雅寛(新潟大・医・教授) 「中和抗体産生能の検証」 河岡義裕(東京大・医科研・教授) 「ワクチンの効果検証」 奥田修二郎(新潟大・医・准教授) 「SARS-CoV-2流行株の遺伝子解析」 阿戸学(国立感染症研究所) 「組み換えBCGワクチンの作成、T細胞応答の検証」 山本三郎(日本ビーシージー製造(株)) 「組み換えBCGワクチンの試験製造と品質管理」 - 実施期間 2021年3月31日まで(予定)
関連リンク
日本医療研究開発機構(AMED)ウェブサイト:令和2年度 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発」の採択課題について
本件に関するお問い合わせ先
広報室
電話 025-262-7000